りんずラボ~発音指導と翻訳修行と~


コメントする

“啊?”(第2声)を聞いても凹まない

段文凝ちゃんが毎日新聞の連載エッセイで、大切なことを書いてくれました。
(かわいすぎる中国語講師、美人すぎる中国語教師、って話題になったあのコです)

失敗もありました。レストランの厨房(ちゅうぼう)で働いていたとき、お皿の洗い方を先輩に注意され、よく聞き取れなかった私は、無意識に「啊(アー)?」と聞き返したのです。これは中国語で「何ですか?」という程の意味なのですが、日本で先輩に「啊(アー)?」と言ってしまったら……どうなるか、日本人の皆さんならご存じですよね。その先輩は私をにらみ付けながら、烈火のごとく私を叱りました。日本では、これは「ケンカを売っている」という意味になるということを、後になって別の日本人の友人に教えてもらいました。

――段ちゃんの「知っておきたい!中国のコト」
――第1回 私の人生を変えた“一期一会”という言葉

あの
「アー?」
ね、あれを聞くと日本人はほんと、ひるみますよね。

続きを読む


コメントする

多言語環境 in 帰省

夏の帰省先は、東日本のいつもの住まいから700kmの遠き西日本。
岩手出身でその後ずっと首都圏で過ごしてきた私にとって、結婚して初めてご縁ができた西日本。

私はそこの方言を、まるで第二言語を学ぶような過程をたどって、徐々に習得してきました。
その過程は『街なかの中国語 Part3 巻末の訳者エッセイに書きました。

街なかの中国語 Part3 話し手の意図・主張の聞き取りにチャレンジ』(東方書店、2014年12月)

今ではヒアリングのほうは9割5分は分かるようになり、スピーキングのほうも5割がた「なんちゃって」方言で話せるところまで来ました。

外国語ネイティブの友達と話していて、なんて表現したらいいか急に分からなくなって、日本語で伝えてしまうことってありますよね。
あれと同じことも起こります。
方言で話していて、どう言ったら正確なニュアンスが伝えられるか分からなくなって、話の後半だけ標準語になったりとか。

続きを読む


1件のコメント

日→中翻訳を学べる講座

このブログの読者さんから、
「 日本語から中国語への翻訳トレーニング方法 」
についてお尋ねがありました。私も詳しくなかったので、さっそく調査。
網羅的ではありませんが、信頼と実績の面で知人から情報を得られるところを選びました。

【通学】

続きを読む


コメントする

生活経験が必要なのは

前回、日本語のリプロセシングができるようになったのは、「意思を伝えなきゃサバイバルできない」という状況で揉まれたからだ、と書きました。
どこで揉まれたかというと、いちばん分かりやすいのは2年間の留学。身体的にも精神的にもサバイバルを経験しました。

ところで、仕事で中国語を使っていてかなりのレベルにある方が「私は生活経験がなくて」とおっしゃる場面にたまに出会います。 続きを読む


3件のコメント

外国語で話す度胸

うちの子供たちを近所の英語スクールに通わせているのですが、色々な出身国の英語ネイティブの先生が大勢いらして、顔を合わせれば何気ない挨拶から何からすっかり英語モードになます。
英語がすっかり退化して中学生1年生レベルの私は、送迎のたびに「ちょっとがんばる」モードになります。

子供たちを英語スクールに通わせているのは、やがて小学校や中学校で習う英語がラクに感じられるように、というのはもちろんですが、外国人と顔を合わせることにアレルギーや恐怖心を感じないようになって欲しいなー、というのが大きな理由です。
子供たちはおかげさまでスクールにいる間は英語で聞き、英語で話しているようで、よい環境に恵まれました。

私もこの環境を活かさない手はない、と、顔見知りの先生と言葉を交わすようにしています。
ブロークンで片言ですが、何も話さないよりは親しみが伝わると信じて。
さすが教職にあるみなさん、私の言いたいことをちゃんと聞き取って(汲み取って)くれます。
足りない分を補って言い換えてくれたりして、さながら道端の英語レッスンです。

~~~

とはいえ、中学・高校を出ただけの私だったら、こんなに会話ができなかっただろうと自分で断言できます。

いま英語で話ができるのは、中国語学習の過程で
「なんとしてでも意思を伝えなければサバイバルできない」
という場面にたくさん遭遇し、語彙が貧困であっても通じる話し方を身につけたからだと思われます。

受験勉強だけだと、作文をしようにも会話をしようにも、日本語を翻訳することに一生懸命になってしまいます。中国語なら日文中訳、英語なら日文英訳ですね。

本当は、外国語で話すときも、外国語で書くときも、言いたいことを日本語で考えてから一語一語逐語訳するのではなく、言いたいことを概念のまとまりとしてとらえ、分解して、対象の言語で新たに紡ぎ直さなければならないのです。

通訳訓練だとこれをリプロセシングと呼びます。

原文で言いたいことの核をつかみ、
文法的に対象言語に逐語訳できるような原文に置き換え、
それを対象言語で表出します。

日本語の口頭表現だと主語と述語が省略されやすいので、主語になる言葉は何かと考え、述語になる言葉は何かと考えるのが、慣れるまではちょっとたいへんです。
が、これが習慣になれば外国語の発話がラクになります。
語彙が貧困であっても、意思を伝えることができるようになります。

ま、おかげさまで中国語で揉まれて散々打たれていくうちに、そんなことの訓練ができていたようで、日本語のリプロセシングが身に付き、それが英会話にも応用できるようになったようです。
ブロークンでも話が通じる!という経験を重ねたことで恐れが小さくなり、いわば片言でもいいから外国語で話そうという度胸が備わってきたのでしょうね。

~~~

あとは、中国語の影響で(と、いいわけしておく)、動詞の活用がすっかり抜けてチャイニングリッシュになってしまっている問題をどうにかしなければいけないのですが、それはまた長期的に。


2件のコメント

虚詞で中国語を豊かに!

もう2週間にもなりますが、編集協力した本が出版されました。

東京の中国語教室「語林」代表で、拓殖大学の先生もされている林松濤(りん しょうとう)先生の最新著書です。

4497217097つたわる中国語文法 前置詞・副詞・接続詞を総復習
(林松濤著、東方書店、2017年6月)

この本の肝は、なんといっても「虚詞」に焦点を当てているということ。
中国語文法で重要な語順が理解できたら、次は、副詞や関聯詞の使い分けによってぐんと理解度が上がります。
もちろん検定試験で問題を解くにも有効ですし、自分が中国語で作文をするとき、すなわち自分が発話するときに、言いたいことのニュアンスがめっぽう伝えやすくなります。

この本はすっきりした目次構成ですし丁寧な索引があるので、知りたい項目をピンポイントで引くこともできます。
しかしこの本の真のすばらしさは、第1章なら第1章の全体を通読したときに実感できると思っています。
どういう発想のときにこの語が使用されているのか。この語の持っている根本のイメージはなにで、それが他の語とどう違うのか。その点から説き起こして、似ている別の語へ、似た発想の別の表現へ、と話が広がっていくので、副詞なら副詞の全体的なイメージを俯瞰することができます。

けっこう厚い本ですが、売れゆきがいいようですよ。
書店でお手にとってご覧になってみてはいかがでしょうか?


コメントする

ジンジンジージンジーチュー

音で聞いただけだと、知らなければ手も足も出ない単語のナンバーワンはこれじゃないかしら。

jing1 jin1 ji4 jing1 ji4 qu1

 

字を見てやっと、あーそれね、ってなる。

京津冀经济区”(百度百科)

私は翻訳者になる、って決めてから通訳訓練をすっかりサボっていて、
ニュースを読むにしても原書を読むにしても、
字だけをパーっと目でなぞって済ませることが多くなってしまいました。

“京津冀”を見ても、頭の中で、けいしんき、って処理しちゃってたんでしょうね。
雑談で出てきたとき、反応できなくて恥ずかしいやら悔しいやら。

中国語学習者の皆さんや通訳訓練中の皆さんのブログを拝見してると、
皆さんほんとに熱心に勉強していらっしゃる。
私もブラッシュアップしなくちゃなあ、って思います。

思ってはいるんです、本当に…!


コメントする

【今日の語彙】“蛋要多少,油要多少”

ひょっとしたら“蛋有多少,油要多少”って彼女は言ったかもしれない。

日本駐在員Wさんの奥方Yさんが北京から遊びに来たとき、私はお味噌汁の作り方を教え、彼女からはトマト卵炒めの作り方を教えてもらいました。
私の大好きな中国家庭料理です。それ以来、うちの夕食にもたまに登場します。

トマト卵炒め。“西红柿炒鸡蛋”。
初めて行った中国で初めて見たときは、びっくりしました。
「トマトが炒め物に入ってる!」
そのうち熱いスープにもトマトが入っているのを見て、またびっくりしたものです。

さて、作り方は簡単。
1)刻みネギとトマトを炒めて塩、コショウをして、鍋から出しておきます。
2)溶き卵に塩、コショウをして、熱したたっぷりの油で炒めます。
このときの油の量が、Yさんのお母様が言うには“蛋要多少,油要多少”なんですって。

img_0633

3)卵をふわぁっとなるように炒めたら、1)のトマトをあわせて一緒に炒めます。
img_0634
4)お醤油で味を調えたらできあがり。
img_0636
ってことで、疑問詞の連用(疑問詞の呼応)
“〈疑問詞〉~〈疑問詞〉~”
“~〈疑問詞〉~〈疑問詞〉”
のお勉強でした♪

例:
“谁想去谁去” (行きたい人が行く)
“喜欢什么,就买什么” (好きなものを買う)
“蛋要多少,油要多少” (卵と同量の油を使う)


コメントする

“的”と“地”はどっちも“的”?

春休みが始まって、まるっきり家族サービスモード。
予想していたとおりだけど、いやはや日中はなんの仕事もできない。

とはいえ、
まるっきり緊張感がなくなると頭脳も心身も緩むので、
ちょっとの時間でも仕事があるのはありがたいこと。

いま持っている案件は、日本語→中国語の翻訳のチェック。
翻訳者は、いつもかっちりした翻訳をなさる中国語ネイティブさん。

今回はその訳文に、[“状語”+“的”+用言]が頻出。

これね……。

“状語”と用言をつなげるなら、規範的な文法では“地”を使わなければいけない。
[“状語”+“地”+用言]
[“定語”+“的”+体言]

でも、ネットの文章とか私信とかを見ていると、
けっこう”的”で代用されてます。

というよりも、もともと白話文で”de”が文字化された当初は、
”的”も”地”も”底”もいっしょくただったんですって。

だから、どれが正しいのか、っていうのは、
学校文法を離れると正解がないというか、
どれも正解、というか、
音声としての言葉ならどれも同じ、というか。

今回は消費者向けのマーケティング文書なので、
字面のアタリをやわらかくするために、
”的”を使った可能性もあるなーと思い、
チェック戻しで翻訳者さんに確認します。

「規範的文法では”地”を用いる箇所だと思いますが、
意図的になさったことですか?」

もっと硬い文書だったら迷わなかったんですけど。
そもそも、硬い文章だとあまり”de”が出てこないし。

今回は、”地”への修正にすんなり同意していただけました。
ネイティブさんへのチェック戻しはいつも緊張します!