りんずラボ~発音指導と翻訳修行と~


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【今日の語彙】“蛋要多少,油要多少”

ひょっとしたら“蛋有多少,油要多少”って彼女は言ったかもしれない。

日本駐在員Wさんの奥方Yさんが北京から遊びに来たとき、私はお味噌汁の作り方を教え、彼女からはトマト卵炒めの作り方を教えてもらいました。
私の大好きな中国家庭料理です。それ以来、うちの夕食にもたまに登場します。

トマト卵炒め。“西红柿炒鸡蛋”。
初めて行った中国で初めて見たときは、びっくりしました。
「トマトが炒め物に入ってる!」
そのうち熱いスープにもトマトが入っているのを見て、またびっくりしたものです。

さて、作り方は簡単。
1)刻みネギとトマトを炒めて塩、コショウをして、鍋から出しておきます。
2)溶き卵に塩、コショウをして、熱したたっぷりの油で炒めます。
このときの油の量が、Yさんのお母様が言うには“蛋要多少,油要多少”なんですって。

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3)卵をふわぁっとなるように炒めたら、1)のトマトをあわせて一緒に炒めます。
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4)お醤油で味を調えたらできあがり。
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ってことで、疑問詞の連用(疑問詞の呼応)
“〈疑問詞〉~〈疑問詞〉~”
“~〈疑問詞〉~〈疑問詞〉”
のお勉強でした♪

例:
“谁想去谁去” (行きたい人が行く)
“喜欢什么,就买什么” (好きなものを買う)
“蛋要多少,油要多少” (卵と同量の油を使う)


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【今日の語彙(日本語)】「いいだけ……する」

数日間布団に入っていて仕事が手につかなかったので、普段読めない趣味の本が読めました。
有川浩さんの『旅猫リポート』。
……忘れてた。彼女の小説は、よく泣かされるんでした。今回もご多分に漏れず。

ところで、彼女の小説では一作に一回くらい「いいだけ」っていう言葉に出会います。
「いいだけ」は、中国人の友人から質問されたことがあって、ピッとアンテナが立つんです。

その友人は日本語の小説を中国語に翻訳しているFさん。上海出身の才女です。中国事情で分からないことがあると教えてくれます。
珍しく彼女から来た日本語の質問が、日本の小説に出てきた

「言葉を選ぶ余裕もなくいいだけ下世話になった台詞に、」

の「いいだけ」とはどういう意味か、と。
彼女は日本語はかなりの上級者ですが、それどころじゃなくて日本人の私も、これは分かりませんでした。

ネットで検索すると、知っている人と知らない人に二分されるようなので、方言かもしれません。
北海道の方言だという説と、限られた年代の人が使うという説があるようです。

用例:いいだけ飲んどいて、金払わねぇのかよ!

この場合は、「飲むだけ飲んでおいて、お金は払わないのか」という意味で、「やるだけやって~うんぬん」っていうのを「いいだけやって」って言うのだそうです。

用例:昨日の合コン、いいだけ盛り上がったのに、誰からも連絡先を聞かれなかった!

用例:この間の居酒屋、いいだけ飲んで、食べて、3000円ポッキリなんて、安かったぜ~

この二つの場合は、好きなだけ、とか思う存分、という意味だと思います。

「いいだけ+動詞」の組み合わせで使うみたいです。
ですからFさんの質問の小説の「いいだけ下世話になった台詞(を吐いた)」は、
「いいだけ下世話になった」が言いたいか、
「いいだけ吐いた」が言いたいか、
のどちらか。

前者なら、「ずいぶん手垢がついた」「そうとう使い古された」「陳腐な」言葉を使った、もしくは「下世話にもほどがある」「俗っぽすぎて品がない」言葉を使ったという意味で、
後者なら、下世話なセリフを「たくさん、言いたいだけ言った」という意味になります。この場合なら「言いたい放題」もあてはまります。

質問の小説の場合は、前後の文脈から考えて、たぶん前者だと思う、という私の感覚も添えてお返事しました。

ここまで書いて、Fさんが翻訳したあの作品は?と思って調べたら、

……なんと!それは有川浩作品でした!

516gNso6nkL._AA218_やっぱりか!

有川浩さんの作品で私が覚えた言葉はもう一つあって、それは「えずく」。
気持ちが悪くて吐き気がするんだけど、嘔吐はしない、ような時に、うえっ、ってなるあれ。
私はつわりの時の母親学級などでも聞いた記憶がないんだけれど、有川作品でたまに出てきます。

ちょうど先週末の体調不良は、吐かない、下さない、でもえずく、っていう症状だったので、ぴったり。お医者さんでもそう表現したけど、そういえば一般的には通じるのかしら?

~私の大好きな有川作品(の一部)~


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今日の語彙:やったりやらなかったり

私は27歳から翻訳の勉強を始めました。
とはいっても、それから十数年、色々な時期がありましたから
ずーっとずーっといつも勉強していたわけではありません。
勉強していた時期もあれば勉強をしていなかった時期もあった。
そんなことを友人に話していたら、考え考え話していたせいでしょうか、
「間断的に勉強してきた」
なんて言ってしまいました。
そんな日本語はない!
本来なら「間断なく~する」っていう使い方ですよねー。
私が言いたかったのは、
「断続的に勉強してきた」
ってこと。
なんでこんな間違った言い方をしてしまったかというと、
中国語の影響ですね。
こんな時、中国語では
“间断地学 (jian4duan4 de xue2)”
と言います。
「途中で切りながら」ってイメージですかね。
日本語の「断続的に」だったら「切れたり続いたり」なので、
「続いてきたこと」にフォーカスしている感じ。
中国語のほうは「切ったこと」にフォーカスしてる感じで、
視点の違いもおもしろいですね。


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今日の語彙:なんにちか

久しぶりに中国語を話しました。産休以来、人と会うこと自体も減っていたので、中国語の鈍っていることといったら。
老朋友のOさんにこう言って慰められました。

再过两天就可以了!
なんにちか喋っていれば元に戻るよ!

[过两天 guo4 liang3tian1]
直訳すると「二日すぎれば」ですが、[两]は数の「2」の意味のほかに、「いくつか」という不定の数をあらわすのですね。
[几 ji3]と大差ないわけです。


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今日の語彙:たてこもる

貴陽市で立てこもり事件、というニュースがありました。
「贵阳 男子 公交车上 劫持 人质 被 击毙」
貴陽で男が人質をとってバスに立てこもり 銃撃されて死んだ
「劫持jie2chi2」=誘拐する、ハイジャックする
「人质ren2zhi4」=人質
【参考】
誘拐する
「诱拐you4guai3罪」=誘拐罪
「拐骗guai3pian4案件」=誘拐事件


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今日の語彙:「お忙しいのは良いことです」

中国語ネイティブの人どうしの会話を聞いて覚えた言い回し。

「我希望你们忙。Wo3 xi1wang4 ni3men mang2。」

〈主語+述語〉、述語=〈人称代名詞+形容詞〉という何の変哲もない構文なのですが、行間には実に豊かな意味が詰まってました。

あるオフィスでの場面です。ある用事のためにAさんが訪ねてきました。
A:你好!
Aさんの相手が席を外していたので、Bさんが応対に立ちました。「どうぞどうぞ、お茶を飲みますか?」
B:你好!你来了!先坐会儿吧。喝茶吗?
Aさんが「お気遣いなく」と答えます。
A:好的。谢谢,不用,你忙你的。
Bさんが、「いま会議中でちょっと慌ただしくて、すみません」と一言あいさつします。
B:我们在开会,不好意思……
すかさずAさんが次の一言。
A:没事儿,我希望你们忙!

「我希望你们忙。」=「 * あなた方がお忙しいことを私は希望します。」??

さて、このフレーズ、話し手はどういう意図で発言しているでしょうか?
1.私のために忙しく働いてほしい。
2.ヒマそうにしていないでせっせと働いてほしい。
3.そのまま忙しく働いていてほしい。
どれもぴんと来ないですね。強いて言えば「3.」の意味が近いのですが、TPOの知識がいるようです。その場で解説してくれたWさんの解釈によると…。

Bさんが「忙しい」という言葉をマイナスの意味で使った。

Aさんはプラスの含意のある「希望する」という明るい言葉を使うことで、Bさんが込めたマイナスの価値判断を逆転させた。

さらに、「自分に対する気遣いは無用だからそのまま仕事を続けてください」という言外の意味を込めた。

ここで話し手と聞き手の間に、「オフィスで働いている人が忙しいというのはビジネスが盛んな証拠だから、良いことだ」という共通の認識が生まれる。

そこで、Bさんの「お相手できなくてすまない」という気持ちもほっと落ち着く。

……とのこと。なるほど~。

今日の語彙:
「我希望你们忙。」=「 お忙しいのは良いことです。」「お忙しくなさっていた方が私も嬉しいです。」

相手は「你们」だけでなく、「」でもよいそうです。

「我希望你忙!」

例えば、「忙しくて手が回らなくてすみません!」とか「忙しくていやになっちゃうよ!」とマイナスの意味で「忙しい」が使われたときに「我希望你忙!」と返してあげると、「いいことじゃないですか~、お忙しいのは商売繁盛ってことですよ~。」というような小ワザの効いた受け答えになるわけです。

述語は「忙しい」だけではなく、色々な場面で色々な言葉が考えられるそうです。
たとえば、入院中の人をお見舞いに行ったら患者さんが「ベッドで寝てばかりで退屈でしょうがないよ~。」と嘆いているような時には……。

「我希望你无聊! Wo3 xi1wang4 ni3 wu2liao!」

……で、「退屈なのはいいことですよ~。(なぜなら、じっと安静にしていればそれだけ早く回復するから。)」というような受け答えになるのだとか。

とっても翻訳しにくいフレーズですが、場面とタイミングが合えば温かな気持ちになれる言い回しですね。勉強になりました。


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今日の語彙:かます

タイトルの「かます」は、魚のカマスでも藁の物入れでも「ぼけをかます」のでもありません。
炊き上がったご飯をしゃもじで さっくり 切り返す、あの動作のことなんです。 「かきまぜる」ようなぐるぐるぐちゃぐちゃした動きではなくて、ほっかほかのご飯の蒸気を上手に通気させてふっくらつやつやにする、あの動作。
すいません、これ、わたしの実家のほうの方言です(岩手内陸部)。

この「かます」動作は中国語で何というのでしょうか。
『講談社日中辞典』付録CD-ROMの全文検索機能を駆使して調べてみます。

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今日の語彙:たかる

この間、うっかり財布を忘れてしまったので、一緒にいた人に食事代をおごらせてしまいました。
「おごる」は“请客 qing3ke4”で、
“今天我请客。jin1tian1 wo3 qing3ke4.”=「今日は僕がおごるよ」
というのは初級の教科書で出てくる言い方。

でも財布を忘れた私に替わって支払いをしてくれた連れは「よろこんで」「主体的に」おごってくれたわけではなくて、若干「しぶしぶ」顔で払ってくれました(お世話になりました!)。私は財布がないのをいいことに、相手の懐をあてにして、要するにたかってしまったわけですね。

中国語で「たかる」に近い言葉は“蹭 ceng4”だと思います。
辞書を引くと、方言として「ただで利益を得る。ありつく。」とあります。
商社東京駐在員のチョウさんに教えてもらった使用例はこんなもの。
“蹭饭” “蹭酒” “蹭烟” “蹭玩儿”
「たかる」はちょっと卑しい感じがしますが、チョウさんによれば“蹭”は一概に“贬义词”だというわけではないそうです。ひとさまの金銭で何かを享受する行為自体を表す“中性词”なのでしょうかね。

日本語では
「いつもおごってもらって、悪いわね」
と言うより
「いつもたかっちゃって、悪いわね」
と言えば、すまなさ、自己卑下の気持ちがより強く表されます。ついでに、ちょっとにやりとする笑いのニュアンスが会話にもたらされます。

中国の雑誌記者ウさんによれば、“蹭”も、自分自身の行為について言うときには、“贬义”とまではいかなくても謙譲気味な意味、自嘲気味な意味、時にはにやり笑いのニュアンスが、やはり出るようです。

“不好意思啊,我总蹭你的烟。”=「悪いなあ、いつもタバコもらっちゃって」

「たかる」の語源って、ハエがたかるの「たかる」ですかね。
“蹭”は単体では「こする。汚す。」という意味。ズボンの裾にこすれてへばりついた泥はなかなか落ちないことから、「他人の出費で楽しむ行為」という意味が派生してきたのではないか、というのが中国の雑誌記者リンさんの意見。

どうでしょう?「たかる」と“蹭”、無関係な単語なのに、なんか性格が似てますよね!


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今日の語彙:ハーブティー

中国でのお茶の名前。

「緑茶」は“绿茶 lv4cha2”。
緑茶にジャスミンの花で香り付けをした「ジャスミン茶」は“花茶 hua1cha2”。

では、わたしが毎日飲んでいるハーブティーはなんて言うんだろう?

「ハーブ」は“香草 xiang1cao3”。
でも“香草 xiang1cao3”は「バニラ」も指す。
「バニラ・エッセンス」が“香草精 xiang1cao3jing1”。
もし“*香草茶”と言ったら、バニラ・フレーバーの紅茶かな??なんて誤解してしまいそう。

そこでお茶に一家言あるウさんに尋ねてみました。すると、

「ハーブティー」=“花草茶 hua1cao3cha2”

なあるほど。そう言えばハーブティーの材料って、お花と草ですよねー。
中国語でのお茶の分類として“花草茶”と言った場合、
キクの花をお湯で蒸して飲む
“菊花茶 ju2hua1cha2”
とか、
バラの花やつぼみをお茶に混ぜずにそのまま蒸して飲む
“玫瑰花茶 mei2gui1hua1 cha2”
なんかも
“花草茶 hua1cao3cha2”
のカテゴリーに入るそうです。

なあるほどね。お茶の葉以外の植物を蒸して飲む飲料が“花草茶”。
私が日本語でハーブティーと聞いた場合、最初に「草」のイメージがぴんとくるのですが、確かに私が毎日飲んでいるカモミールティーにもお花が入ってます。
そうかあ、私は毎晩“花草茶”をいただいていたのだなあ。

ちなみに。
「カモミール・ティー」=“洋甘菊茶 yang2gan1ju2 cha2”
「(植物としての)ハーブ類」=“芳香植物 fang1xiang1zhi2wu4”
「アロマテラピー」=“芳香疗法 fang1xiang1liao2fa3”