日本人発音講師による中国語発音矯正専門教室

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りんず中国語ラボのレッスンは「中上級者のための日本人講師による中国語発音矯正レッスン」です。安定した発音が定着し、身につけた発音が退行しないトレーニング方法をお伝えします。中国語の発音を矯正したい方、キレイな発音に憧れている方はりんず中国語ラボへ。

  1. りんずの講師ってこんな人

わたしには発音指導の師匠がいない

構音障害(側音化構音)の克服と中国語

「井田さんって、師匠はどなたなんですか?」と尋ねられたことがあります。
そうですね。
中国語の発音を教えることについて言えば、わたしには師匠がいません。
教える仕事をしている者として、また「教える人」を育成する仕事をしている者として、今の仕事にいたるまでにわたしがどんな勉強を積み重ねてきたのか、ちゃんとお話ししておこうかなと思います。

中国語の手ほどきをしてくださったのは、長谷川良一先生です。
大学の第二外国語のご担当でした。
第二外国語といっても、週4コマもあって、そのうち3コマが長谷川先生のご担当だったので、かなりしっかり教えていただきました。

長谷川先生は初心者教育数十年というベテランで、30人からの人数がいるクラス授業であるにもかかわらず、だいたいのクラスメイトがよい発音になって2年生に上がっていくという指導成果を出しておられました。
初めの3週間ほど、つまり10回以上はピンインの学習、発音の基礎学習を行うカリキュラムでしたので、その間はひたすら大きな声を出して口を動かすというトレーニングです。
その最初の時期に配られたのがこちらの紙片で、これを毎回の授業で唱えてから始まるのがお決まりでした。

この紙片のトレーニングはとてもよく考えられていて、見るたびにほれぼれするほどです。
いまりんず中国語ラボではこのトレーニングをどの受講生さんにも必ず取り組んでもらっています。
長谷川先生の遺産を後世に受け継ぐと言ってはおおげさですが、でもそんな気持ちで典拠を明らかにした上で使っています。

そこまで尊敬している長谷川先生のことを、それでもわたしは師匠とお呼びすることはできません。
わたしは第二外国語の授業を受けただけに過ぎないからです。
大学4年になった時、先生に許可をいただきもう一度おなじ授業を受けさせていただきました。
(学生用語で「モグる」というあれです。大学生の特権ですね)
でもそれだけなんです。

中国語科教授法についてお話をうかがったわけでもない。
どんな意図でそれぞれの指導をなさっていたのかをお聞きしたわけでもない。
いま思えば本当にもったいないことをしました。

授業のない時間に、長谷川先生が近くの公園で二十四式太極拳を習っているご様子を見かけることもありました。
なんであの時、話しかけにいく勇気がなかったのか。

歳月が過ぎて大学を退かれた後も、生涯学習センターや専門学校日中学院で教えていらっしゃったのに、なぜそこに習いに行かなかったのか。
後悔しても始まりませんが、すべてはわたしの未熟ゆえです。

その代わり、ご著書は熟読しました。

右側の本は、のちに(株)東方書店の入社試験を受けたときに、書評課題の素材とさせていただきました。
おかげさまでめでたく転職できました。

2001年の夏、北京語言大学で行われた中国語講師研修(国際漢語教師培訓班)に参加しました。
発音、文法、文化、とさまざまなクラスが組み合わせられ、また、韓国、東南アジア、少数ながら欧米など諸外国で中国語を教えている先生方に出会うことができておもしろい体験でした。
そこで最も記憶に残っている授業内容は、中国語の単語は2要素の組み合わせでできている、という内容です。
その2要素はどれだけ文字数がバラバラでも前半1拍後半1拍で発音する。
たとえば北京語言大学なら前半の「北京語言」と後半の「大学」に分かれる。
インドネシアなど区切りようのない単語の場合はどうするのか、という質問には前半の「印度尼西」と後半の「亚」に分ける、という回答を聞いて、なるほど、それが中国語の語感か、と強く印象に残りました。
この前半後半の意識、拍の意識についても、りんず中国語ラボの上級者さんにはお伝えしています。
わたしの大事な財産です。

ただ、せっかくの機会だったのだから、教えてくださった先生方と連絡を取りつづける努力をすればよかったのに、と思います。
普通話の対外漢語教育のメッカのような場所に行ったのに、与えられたことを学ぶだけで他には何もしなかった。
今のわたしだったらもっと貪欲に多くのことを吸収しただろう。
楽しかったいい思い出、になってしまっていることは、すこし残念に思います。

中国語に出会って10年を越えた頃、企業研修の講師として中国語を教える仕事を始めました。
講師としてわたしを企業に派遣してくれる、その派遣元が、かなりちゃんとした講師研修を行ってくれました。
採用試験を兼ねたその講師研修、月一回半年間も通って、最後は模擬レッスンも行って、それで不採用になることもあるという恐ろしい、でもそれが無料で受講できるという太っ腹のシステムで、そんな派遣元と出会うことができたのは幸運でした。
その派遣元の顧問をなさっていたのが三潴正道先生です。

三潴先生が設計された採用システムは、初めに筆記試験があり、ネイティブ話者でも筆記試験でかなりの割合の人が振り落とされてしまっていました。
わたしはそこで、中国語を教えるという仕事には「上手に中国語を話すことができるというだけでは足りない」という三潴先生のポリシーを感じましたね。

半年間の研修に通っているメンバーは、ネイティブ話者6割、非ネイティブの日本人は4割ほどでしたが、そこでは「ネイティブ話者同士であっても中国語に対する意見が真っ向から対立することがある」という事実を目の当たりにしました。
思えばそれも、三潴先生の教育の一環であり、ネイティブ話者には「自分だけが正しいのではない」という諌めを、非ネイティブには「正解は一つではない」「しっかりとしたレファレンス能力を身につけよ」というメッセージが込められていたと感じます。

とはいえ、

    • 外国語を身につけるとはどういうことか
    • 効果的な外国語指導のために何をしたらいいか
    • 中国語の発音はどのような体系か
    • 発音できない人に対する発音指導はどうやったらいいのか

わからないことだらけです。
発音指導は大学1年以来受けたことがない。
発音を修正するのは自己流でやってきた。
発音矯正を看板に掲げてレッスンを始めたとき、それは自分が指導を受けたことすらない内容のレッスンをするという、かなり大きなチャレンジでした。
それなのに踏み出したこと、踏み出せたことには3つの理由があります。

一つは、かなりの量の専門書を原書で読み込んだ自負があったこと。
一つは、その専門書の読み込みによって自分の発音が変化を遂げていたこと。

そしてもう一つは、目の前に困っている人がいたことです。

発音に困っている人が目の前にいる。
レッスンをしてみたら、目からウロコです、と喜んでくださる。
その人のために次は何をしようと考える。

それが始まりで、いまでもずっとその続きをやっています。

井田さんの師匠はどなたなんですか?

そう尋ねられることがあったら、今ならわたしはこう答えるでしょう。

中国語の素地を作ってくださったのは、長谷川良一先生、三潴正道先生はじめ多くの先生方です。

自分の中国語の発音を修正することができたのは、多くの先人の研究結果によってです。

発音指導を適切に行うことができるようになったのは、わたしを信じて受講してくださった多くの学習者さんのおかげです。


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