日本人発音講師による中国語発音矯正専門教室

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りんず中国語ラボのレッスンは「中上級者のための日本人講師による中国語発音矯正レッスン」です。安定した発音が定着し、身につけた発音が退行しないトレーニング方法をお伝えします。中国語の発音を矯正したい方、キレイな発音に憧れている方はりんず中国語ラボへ。

  1. 中国語の学習のはなし

発音練習と子供の手習いに共通するトレーニング戦略とは

中国語の発音と発音矯正

「まっすぐな線はまっすぐに書こうね」
小学校に入ったばかりの子がひらがなを練習しているとき、わたしは思わずこう声をかけていました。

以前、「発音とプロソディと音楽と」という記事では中国語と音楽がどのように似ているか書いてみたことがあります。
今回はものごとの習得過程にみられる学習手順が発音学習に似ているものを、思いつくままにあげてみます。いわば
“発音矯正とトレーニング過程が似ているもの5選”
はじまります!

目次

お手玉
おりがみ
なわとび
ひらがなの練習
編み物

お手玉

両手をつかって二つのお手玉をくるくると回すの、かっこいいですよね。
できない子供にとっては早くやってみたくてたまりません。
両手が同時に同じ動きをしてしまったり、お手玉の飛んでいく方向がめちゃくちゃだったり、苦労しています。

こういう手遊びはいくつかの動作の組み合わせでできているので、動作を分解して練習するのが吉。
まず右手は、お手玉を毎回同じ軌跡で投げるというコントロール。
左手も、右手に向かって正確にお手玉を投げ入れるというコントロール。
それを決まった順番で決まったタイミングで連続で行う。

難しいことしてますよね。
でも慣れればできる。目をつぶっていてもできたりする。

発音で言えば、舌を zh の位置にセットするコントロール。からの母音を出す声帯のコントロール。それと舌をちょっと離して子音から母音に移行するタイミングのコントロール。
その組み合わせを、できない人がぜんぶ一気にやろうとしてもできない。
だから発音矯正では、ひとつひとつの操作を分けて、できない操作を集中的に練習、その組み合わせで発音ができるようにします。

慣れればできます。目をつぶってお手玉をするかのように、無意識にさらっと発音できるようになります。

おりがみ

幼稚園児だった娘がいっしょうけんめい折ったツル、ニワトリ、机、、、。
どこかモタっとしてクシャっとしています。ピンとしていません。

「折り紙をおるときはね、ピシっとはじっこまでアイロンアイロンしようね」
アイロンする、とは、「ちゃんと折り目をつける」ことの幼児向けの説明です。

つけた折り目がふわっとしていたり、角がずれていたりすることで、仕上がりの冴えが失われてしまいます。
折り紙の仕上がりの美しさというのは、手順を覚えること以上に、ひとつひとつの折り目がどれだけしっかりしているかで決まるのです。

発音で言えば、一文を滑らかに音読しているようでも、どうもメリハリがない、中国語らしく聞こえない、そんな症状があります。

ぺらぺらっとネイティブスピードで話すことよりも、一音一音が「なんの子音でなんの母音か、なんの声調か」がわかること、折り紙で言えばひとつひとつの折り目のように、ひとつひとつの音節の発音がしっかりしていること、それが仕上がりの印象をずいぶん左右するのです。

なわとび

一生懸命ジャンプしているのに、縄が足に当たって止まってしまう。
二重跳びに挑戦! ……やっぱり縄が足に当たって1回で止まってしまう。
なわとび練習のあるあるですね。

なわとびはお手玉と似ていて、複数動作の組み合わせです。
決まったリズムでジャンプできること。高く飛ばなくても、縄が通るすきまさえあれば数センチのジャンプでOK。
手首を効率的に使って縄を回せること。幼児あるあるは、手を肩から使って一生懸命に大まわししちゃうこと。

これも、動作を一つ一つ分解するとあっという間に習得できます。
縄は使わずにその場ジャンプを繰り返すこと。意外と一箇所にとどまっていられないことがわかったりします。
縄を片手にまとめて持って、ぐるんぐるんとまわして地面に叩きつけること。猛獣使いがムチを振るうようなイメージで。これが両手ともに上手にできないと、本番の縄跳びもできるわけがありません。

発音矯正でいうと、「子音+母音」の発音と、音を上げ下げする「声調」のコントロールは、分けて練習します。
“春天来了。”(春がきた)がうまく発音できないとき。いくらお手本音声をリピートしてもうまくいかないのなら、要素を細分化しましょう。

“春天”の発音はできるのか。
“春”は子音の ch が課題なのか、母音の消える e が課題なのか。
“天”は t の有気音は出ているのか、母音では介音の i は出ているのか。
声調では第1声がしっかり最後まで強いのか。無意識に音が上がったり下がったりしていないか。

“来了”の発音はできるのか。
“来”も“了”も子音 l がしっかり有声音になっているのか。
“来”の複合母音 ai は音の変化が滑らかで均一か。
第2声+軽声の組み合わせで軽声の高さは適切か。

“春天来了。”という文になったとき、“天”の第2声と“来”の第1声の高さはそろっているか。
文末は句読点の前で自然な下降をしているか。

こんなふうに細分化すれば、すべてができていないわけではなないでしょう。できていない課題だけを集中的にケアすれば、組み合わせて全体を適切な発音にすることができます。

ひらがなの練習

「まっすぐな線はまっすぐに書こうね」
これは字をきれいに書く時の鉄則だそうです。わたしはいい大人なのに悪筆だから人のことを言えた義理ではないのですが、我が子には知ってるポイントだけでも伝えておかないと、悪筆が一子相伝になっては困ります。

小学校低学年くらいの子供の書く字はダイナミックです。あっちこっちにはみだしたり、へんなところがクシュっと集まったりします。
このとき、線が足りないとか、点が足りないとか、はねがちゃんとできていないとか、そういう字画の不足はもうクリアしていたりします。
字画は必要なパーツがそろっているのに、仕上がりが天衣無縫。

こういうときは、お手本のどこを観察するべきか、みるポイントを知る必要があります。
「鋭く曲がってるのか、緩やかに曲がってるのか、お手本をよく見てみようね」
「上の部分と下の部分のどちらが大きいかな」
「全体がピラミッドみたいに三角になってるね」

発音でいうと、長文の音読で似たことが起こります。
一つ一つの音節はきちんと発音できている。でも、文として発音するとなにかが不自然。
こういう段階には、ネイティブ話者がどんなふうに緩急抑揚を付けているか、観察するポイントを知るとうまくいきます。
単語と単語の間がどんなふうに空いているか、どこでつながっているか。
この単語はさらっと速く読んでいるか、丁寧にゆっくり読んでいるか。
声調の上がり下がりの幅が大きくなっているのはどこで、小さくなっているのはどこか。
どんな意味の文にどんな緩急抑揚がついているのか。
観察ポイントを知る。それだけで、知らなかったときとは再現性が変わってきます。

編み物

娘が小学2年生のとき、かぎ針編みをやると言い出したので、内心「それは難しいでしょー。きっとすぐ投げ出すんじゃないかな」と思っていました。
はたして、いろいろ苦労しました。
・作り目が難しい
・目の数が合わない
・毛糸を針でつかまえ損ねて行方不明の目ができる
・編む力が不均一なので目数があっていても仕上がりが悪い
・なんども作り直しを重ねて途中で泣く、放り出す
・それでも自ら再開してとうとう作品を仕上げる

かぎ針編みであみぐるみを作った娘は、同じ年のうちに棒針編みにも手を出し、基本の編み方はできるようになってしまいました。

この過程は、はたで見ていてもすごかった。この子はこんな根性のある子なのか。ということもわかりましたが、語学講師としては大事なことの学びにもなりました。

それは、続けさえすればいつかはモノになる、ということ。
どんな困難があっても、そこには原因と解決法があり、やりさえすればクリアできる。
最後までたどり着いた成功者のやったことはただ一つ、「やめなかったこと」。

自分の学習にもその精神を取り入れたいし、受講生さんにもそのかたの力を信じて「やり続ける」ことの背中を押す。そういう仕事をしたい。そう思っています。

まとめ

お手玉、おりがみ、なわとび、ひらがなの練習、編み物と、子供の成長に付き合いながら、発音矯正のことや語学学習のことに思いを馳せていたら、習得過程に似通った点がたくさんありました。

語学って、知識を覚える営みというだけではなく、手わざや技芸を覚えていく過程に通じるものがあるんですね。


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