Zさん:先生! 助けてください!
りんず:はいはい、どうされましたか?
Zさん:たとえば「上海に行きます」って言いたくて “我要去上海”って言いたいんですが。。。
りんず:なるほど。「また上海に行きました」“我又去上海”って聞こえてしまいますね。
Zさん:はい。“要” が「ヨウ」になっちゃうんです。
Zさん:この発音は違う、って分かってるんですが、どうしても変わらなくて。。。
りんず:そうですか。Zさん、ひょっとして「ヤオ」って発音するつもりで口を動かしていませんか?
Zさん:えっ? はい、そうですけど…?
りんず:“要” のピンインは「 yao 」ですよね。
りんず:この「 yao 」っていうピンインの綴りは、もともと「 iao 」だっていうことは、覚えていますか?
Zさん:あー、そういえば。「 iao 」の前に子音がないから、i を y に書きかえるんでしたね。
りんず:そうそう。このタイプの発音は、日本人学習者の要注意事項なんですよ。
二重母音や三重母音で、最初が “ i, u, ü ”で始まる音は、一つの音節の中での変化が大きくて、とても中国語らしい音です。
日本語には二重母音や三重母音といった複合母音がなく、「か、き、く、け、こ」(ka, ki, ku, ke, ko)のように母音が短いですよね。
漢字の音読みを比べてみても、
例えば
「流」“ liu ” は一つの音節ではなく「リュ」と「ウ」っていう二つの音節としてとらえたり、
「年」“ nian ” は「ネン」になって “ i ” はどこかに消えてしまうし、
「小」“ xiao ” や「橋」“ qiao ” は「ショウ」「キョウ」といった「小さいヤユヨ」つまり拗音として取り入れています。
そして、日本人学習者の中国語の発音では、「流」を「リュウ」、「年」を「ネン」、「小」が「シャオ」、「橋」は「チャオ」のように発音してしまうことが多いんです。
この現象、それぞれ、子音のすぐ後の i を丁寧に発音することで、グッと中国語らしく聞こえます。
りんず:というわけで、 “要” はもともと「 iao 」なので、 i を丁寧に発音してみてください。
Zさん:えーと、「イアオ」ですかね?
りんず:はいはい、ずっとよくなりました。
りんず:それから「 i 」は、日本語の五十音の「イ」ではなく、舌の構えを「 ü 」と同じにしましょう。
Zさん:ああ、あれですね! えーと、「イヤオ」?
りんず:はいできました! それでOKです!
りんず:今まで「ヨウ」という発音になっていたのは、多分「 iao 」の最後の「 o 」が強かったんだと思います。
一番強いのは、真ん中の「 a 」にして、かつ、出だしの「 i 」も丁寧に聞かせる。
これで練習してみてください。
Zさん:はい! やってみます!
まとめ:“要” ( yao = iao )が中国語らしく聞こえるコツ
(1)最初の「 i 」の口の形(舌の位置がせり出してy母音の位置にある)をしっかりセットする
(2)「 i 」の音がきちんと聞こえてから「 ao 」を発音する