発音指導中に受けた質問から。
ju を発音する際に、唇がいったん i のように横長になってからすぼまってくるので、単母音が二重母音になっていました。そこで
「 u の発音では最初から唇をすぼめてくださいね」
「子音は調音の部位を決めるだけ。母音の口の構えで発音しましょう」
とお伝えしました。
そこで出たのが、「 j の発音は ji ではないのですか?」という質問。どうやら直接話法で習った入門期に受けた説明が不十分だったようです。
「 j と ü の組み合わせが ju だ」と説明する際、ネイティブの方はよく「 ji , ü , ju」のように教えてくれます。子供たちが小学校で先生から教わるときに、このように説明を受けているので、外国人に対しても疑うことなくこのように教えてくれるようです。私が出会ったケースでは大陸でも台湾でも同じでした。
この説明は、「 ji の声母の部分と、韻母 ü の組み合わせが ju という音節だ」ということを表現しているのですが、小学一年生にはもう、四の五の言わずに口真似をさせるのでしょう。それはしょうがないことですね。
でも、これから初めて ju を学ぼうという人がこの説明を聞いて、「 j は ji と発音するのだ」「 ji と ü の組み合わせだから “じゆー” だ」と理解してしまったのだからミスリードです。他の韻母をともなった声母で子音の説明をしてしまったことが原因。
大人が第二言語として学ぶ際には、まず音節のなりたちを理解するという一手間があるといいですね。その上でそれぞれの子音やそれぞれの母音の発音を学んだほうが、その後の習得スピードが格段に変わります。
また、入門期には、語学教育について知識をもった先生に教えていただくのも大切です。