中国語の発音って、日本語に比べるととても「シャキシャキッ」としているイメージがありませんか?
音の単位の1音節が、日本語では例えば「か」で終わりなのに、中国語では「かー」と長く伸びます。
そして、その伸びる音のかたまりに芯が通り、輪郭が際立って聞こえます。
その理由の一つに、中国語では子音の発音に時間をかける、ということがあります。
どんなにぺらぺらとハイスピードで話して、1音節がとても短くなっていたとしても、その音節の全体の長さに占める子音の長さの割合は変わりません。
どうかすると母音の方が短くなって、相対的に子音の占める割合が上がるかもしれません。
そんなわけで、子音は中国語の発音の全体的な印象、耳ざわりのようなところを演出していると言えるかもしれません。
母音は、どちらかというと意味の表現を担う役割が大きいのですが、子音は多少のずれがあっても意味は推測してもらいやすい面があります。その代わり、柔らかい感じなのか、硬い感じなのか、そういった質感の部分を担っているところがあります。
さて、そんな子音、発音するための動作はほとんどが口の中で行われているので見えません。
規範的な発音をするには、「やり方」を学ぶのが近道です。
(音を聞いて真似するだけでは、なかなかストライクゾーンに近づけません)
今回は、子音の音の違いはどうやって生まれるのか、お話ししましょう。
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子音の音の違いを生むのは次の3つの要素です。
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- 発音に使う部位(調音部位)
- 密着・接近した部位を離す方法(調音方法)
- 母音とのつながり方(気流の音、声帯の音)
中国語に限らず、日本語を含めすべての言語において、この3つの要素の組み合わせで子音の音ができあがっています。
子音の発音は、発音器官のどこか2箇所、だいたい上のパーツと下のパーツを接近(または密着)させ、それを離す、という動作でおこないます。
その上のパーツと下のパーツがどこで接近(または密着)するか、というのが調音部位です。
舌先を使う調音部位が「前、少し後ろ、後ろ」と3種類あり、舌のもう少し中ほどの腹の部分を使う調音部位が「前、後ろ」と2種類あり、舌は使わず上下の唇を使う調音部位が1種類、前歯と唇を使う調音部位が1種類あります。
そのそれぞれに、「密着させてから離す、接近させるだけ、密着させるんだけれども母音が出る前に空気の音が出る」などの調音方法および母音とのつながり方のバリエーションがあります。
Aという調音部位でBの調音方法をとりCの母音のつなげ方をする、という組み合わせで子音が特定される。
AとBとCのどれか一つでも要素が違えば違う子音が生まれる。
子音というのはそういうものです。
ですから、いくらネイティブの先生の口をじっと見ても、子音の発音のやり方はわかりません。
どの子音はどれとどれの組み合わせ、というのを学びさえすれば、やみくもに練習しなくても、自分のちからでスマートに発音できるようになります。
ネイティブさんの発音を聞いて微調整するのは、その後でも充分だと思いますよ。
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調音部位と調音方法がものすごく詳しく書いてあるamazonペーパーバック『りんず式中国語発音矯正』は2022年8月8日に刊行されました。
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