客観的に発音の弱点を洗い出せて、改善のためのアドバイスが聞ける「発音診断」。
当ラボの受講生でなくても受けることができます。
そして、成長が数値でわかるようにスコア(点数)を出しています。
今回はその発音スコアによって表される発音スキル、発音レベルについて解説します。
発音診断の内容
発音診断は6つの小チェックで構成しています。
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- 長文音読(ピンインあり。予習したもの)
- 長文音読(ピンインあり。初見の原稿)
- 長文音読(ピンインなし。初見の原稿)
- 漢字の音読(ピンインあり。単音節100個)
- 声調の聞き取り(二音節の組み合わせパターン)
- 声調の発音(二音節の組み合わせパターン)
長文の音読では、中検4級読解文レベルの素材を使い、意味内容を自然に表現できるかをチェックします。予習の有無でパフォーマンスは変わるか、ピンインのありなしでパフォーマンスは変わるか、ということも確認します。
ピンインの読み方に関する知識は正しいのか、漢字の読みを知らないだけなのかといった、その方の弱点の所在を具体的にしていきます。
長文音読のほかに単音節漢字の読み上げをすることで、1音節の発音と長文の発音とでパフォーマンスが変わるか、も確認しています。
漢字の読み上げでは、発音のクセがあるとしたら、それが特定の声調・母音・子音についてのクセなのか、不規則なゆらぎなのかを確認しています。
二音節組み合わせパターンで声調の聞き取りと発音を見ることで、ご自身の発音とリスニング力との相関を確認します。
声調の認識が長文音読のパフォーマンスに関係しているか、ということも確認します。
発音診断の評価基準
どんな発音なら「通じる」のか、どんな発音なら「聞き取りやすい」のか、当ラボなりの定義を設けています。
通じない普通話とは……
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- 声調・母音・子音に誤りがある。またはピンインの読み方が分からない。
- 聞き手は「意味をとれない」「聞き間違える」「推測で補う」ことが多い。
通じる普通話とは……
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- 不安定さや不自然さがある。発声や音域に母語干渉がある。
- しかしピンインの読み方は分かっているため、注意深い聞き手なら聞き取ることができる。
聞き取りやすい普通話とは……
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- 声調・母音・子音が明瞭で安定し、発声や音域も中国語に適している。
- 意味が伝わる発音ができており、聞き手がストレスなく理解できる。
発音診断の採点項目
これが採点表です。
「声調」「母音」「子音」「発声」「プロソディ」の5項目を各20点満点で評価します。
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- 10点獲得:その項目は「通じる普通話」に達しています。
- 20点獲得:その項目は「聞き取りやすい普通話」に達しています。
- 20点以上獲得:その項目は「美しい普通話」のレベルに達しています。
発音カルテの読み方
これが発音カルテです。
「発音スコア」
聞き取りやすい発音かどうかを重視し、評価にあたって声調の比重を高めた総合点です。
非ネイティブ学習者としては発音スコア100点に到達することが一つのゴールです。
「非ネイティブ学習者のゴール」を100とすると、今の発音レベルはいくつか、ということがわかります。
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- 0~50点:通じない・通じにくい 51~75点:聞き取りやすい
- 76~90点:かなり聞き取りやすい 91~100:とても聞き取りやすい
- ※「美しい普通話」のレベルに達していれば、100点以上のスコアが出ることもあります。
「各項目のバランス」(グラフ)
「声調」「母音」「子音」「発声」「プロソディ」の5項目のうち、得意な項目と不得意な項目を明らかにします。どの項目を優先してケアすればよいかがグラフで分かります。
「音声項目」
発音チェックで見つかった具体的な特徴について列挙しています。
「おすすめするトレーニング」
発音チェックで明らかになった要修正点や弱点があれば、それを克服するためのトレーニングと目的をお伝えします。
体験レッスンにおける簡易発音チェックの内容
上記の発音診断とは別に、体験レッスンでおこなっている簡易発音チェックがあります。
その内容はこちら。
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- 短文音読(ピンインなし)
- 短文音声のリピーティング(原稿なしで音声のみリスニング)
- 中国語フリートーク(必要に応じて。簡単な問答)
- 韻文音読(必要に応じて。ピンインあり)
短文音読では、音節の発音にクセがあるかどうか、漢字の読みが分かっているかどうかのスクリーニングを意図しています。
リピーティングでは、リスニング力の確認、耳にした音声をそのまま発音できるスキルの確認をしています。
上級者さんの場合、あるいは入門期でピンインなしの短文が読めない初心者さんの場合には、フリートークをおこない、話し方の自然さや中国語がどれくらい聞き取れているかを確認します。
ピンインの読みが誤っていないか確認したいケース、上級者さんで中国語のリズムを確認したいケースでは韻文の音読をすることもあります。
このように、チェックする素材やチェック意図が異なるので、場合によっては「発音診断」と同時に「簡易発音チェック」も行って、今後の学習のアドバイスをお伝えすることもあります。
発音診断の効用
こうした方法で各項目をチェックしている発音診断、かなり網羅的なチェックができますので、現在の発音にどんな特徴があるのか、ほぼ的確に指摘することができます。
これまでに、数ヶ月おいて発音チェックしたところ、発音カルテで指摘されたポイントがぐんと改善した方もいらっしゃいました。
Uさんは「一つの習い事は三人の先生から習う」という主義の方で、中国語の発音もわたしを含めて三人の講師の意見を聞いておられました。すると他の先生からも同じクセや特徴について指摘されたとのこと。レッスンを受けるなどして、1年おいて再度発音チェックをしたところ、ぐんと改善しておられました。
発音チェックをしたことで
「何に力点をおいて勉強すればよいかがわかった」
「不安がなくなった」
「トレーニングをするのに迷いがなくなった」
というご感想もいただいています。
あれもこれもやって目移りしてはもったいないことです。
本当に必要なことについてピンポイントで指摘を受けてみませんか?