音声学が好きで、発音学習の指導に力を入れていて、そろって音読好きな講師二人が、
中国語の音とリズムを楽しむ音読サークル〈 玲瓏りんろん 〉
をやってます。
サークルのイベントはどなたでも参加可能。
いつも意欲的な学習者さんに恵まれ、音読仲間の輪がひろがる楽しい時間を過ごしています。
このサークルの名前「玲瓏」、どんな気持ちを込めて名付けたのか聞いていただけますか?
玲瓏の日本語の意味
れい ろう 【玲瓏】
辞書を引くと、こんな意味が書かれています。
ひとつには、美しい音に関係した意味。
①「金属・玉などがさえた美しい音で鳴るさま。また、玉を思わせる美しい声の形容。(『大辞林』)
「顔に似合わぬ玲瓏たる美音で演説」なんて用例があるそうです。
もう一つには、見た目がいいさまをあらわした意味。
②玉のように美しく輝くさま。さえて鮮やかなさま。
(『大辞林』)
玲珑の中国語の意味
玲珑(línglóng)
中国語では、美しい音と見た目の形容のほかに、細工が精巧だという意味、そして人柄を形容する意味があるようです。
①玉の触れあって鳴る音
②空が明るいさま
③精巧なさま
(『中日大辞典』)
①(工芸品・置き物・アクセサリーなどが)精巧である,よくできている
②(人が)利口である,きびきびしている
(『白水社中国語辞典』)
玲珑が使われている熟語
熟語の一部として使われているものにはこんなものが。
〔小巧qiǎo玲珑〕〔娇jiāo小玲珑〕:細工が精巧だ。小柄でかわいらしい。小さくて精巧にできている。
〔玲珑剔tī透〕:(a)極めて精巧だ (b)聡明だ (c)利口だ
〔八面玲珑〕:(言動に)如才がない。角が立たない
用例
〔长得娇小玲珑,让人喜爱〕姿がきれいで,かわいらしくて人に好かれる
〔这块东西娇小玲珑,非常可爱〕これはこじんまりしていて実にかわいい
(愛知大学2020中国語語彙データベース)
〔青花玲珑〕というのは、磁器ナンバー1の景徳鎮のうつわに透かし彫りを施したものだそうです。
おまけ 超絶早口言葉
それから、河南省に宋代に建てられた “玲珑塔” という仏塔(を修繕した)の重点文物保護単位があります。
日本で言うところの法隆寺の夢殿くらい大事な文化財になるでしょうか。
でもって、快板という伝統芸能の师傅たちが見せてくれる演目の一つに、その玲珑塔を題材にした〈玲珑塔〉というものがあるんです。
日本で言うところの「寿限無」とか「外郎売」のような芸に当たるんでしょうか。
わざわざ舌を噛みそうな字句を選んで作ったでしょう、という言いにくいセリフを、リズミカルに聞かせてくれるのは、まあ控えめにいって超絶技巧です。
こちらの動画は字幕ありで、速度もやや落ち着いていて発音がきれいです。
https://www.bilibili.com/video/BV16Q4y1Z7Lt
2’21あたりからがダイジェスト版早口言葉として使われるくだりになっています。
まとめ
音読サークル〈玲瓏りんろん〉の「玲瓏」とは、「からんころん」とか「ちーん」と言うきれいな音や、精巧な細工を施した工芸品の形容に使う。
日本語だとよい声の形容にも使う。
中国語だと人の性格の形容にも使う。
だいたいスマートでクリアで好印象なイメージの言葉です。
なかなかいい命名だと思いませんか?(自画自賛)
音読サークル〈玲瓏りんろん〉を始めたときには、実は不安に思っていました。
音読が好きな人なんて、たくさんいるものだろうか。
いたとしても大勢の人の前で音読するイベントなんかに、来てくれるものだろうか、と。
フタを開けてみたら、趣味として音読・朗読を楽しみたいと思っている人は大勢いらっしゃいました。
そして今や、中国語学習の方法として音読はとてもメジャーなものとなり、大勢の人がSNSで音読をアップするという時代になりました。
これからも音読好きの皆さんと一緒に、中国語の音とリズムを楽しんでいきたいと心得ております。
中国語の音とリズムを楽しむ
音読サークル〈玲瓏りんろん〉