1. 中国語の発音の世界

中国語のゴールはたくさんある:音読の流儀3種、いや6種

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「中国語を上手に読む人」には、いくつかのスタイルがある、というお話です。

音読の練習をしようと、お手本音声を探し始めたんです。
それではたと気づいた。
中国語の音読も、目指すゴールが人によって違う、ということ。

1.中国語初心者が目指すゴール

たとえばこれ。中国語初心者が目指すゴールはここです。まずはピンインどおりに正しく音読できること。検定試験の音声は、わりと無機質ですが、聞き間違えようのない正確な発音です。

2.中国語中級者・上級者が目指すゴール

次にこれ。中国語ネイティブが目指す普通話。出身各地域の方言・地方音を脱して目指すゴールがこれ。非ネイティブ学習者の目指すゴールはここと言っていいでしょう。聞き手に意味を届ける意識を持つと、自然な緩急や抑揚がつきます。

3.ゴールのない話芸

次は枝分かれします。話芸コースの各専攻とでもいいましょうか。ネイティブ話者であっても、シチュエーションに応じてこれほど豊かなバリエーションをつけて話すことはできないでしょう。プロの話し手や声優さんがどんな表現を目指すか、という領域ですね。

まずは、経済ニュース番組のキャスター調。情報を伝えることが目的のデリバリー。わりと無機質でスピーディです。

つぎは、情感ゆたかな朗読調。CCTVの“名嘴”、《朗読者》メインキャスターの董卿サマ。美しいおかんばせに、その声、その朗読。いつ見てもメロメロです。この動画でのしゃべりはそれでもかなり平板なほうで、作品の朗読になるととても情緒豊かに、起伏に富み、心を揺さぶる読み方をしてくれます。

こちらは、ドキュメンタリー調。中国の自然科学番組や愛国番組、コマーシャルなどで好まれる、抑揚の強い読み方です。聞いてなくても耳をこじ開けて入ってくるような力強さがありますね。台湾の人にとっては、とても大げさに聞こえるそうです。

つぎ、これも一大ジャンルです。幼児向けの発声と話し方。大げさな抑揚があって、話している人の表情はにこにこ笑顔なんだろうなー、って思いますね。このPocoyoはもともとスペインの幼児向けアニメで、英語版、日本語版もあります。うちの子たちも大好きです。

4.まとめ:学習者のゴールがある。プロが極める道がある。

わたしは発音講師なので、発音矯正のご相談を受けることが多いのです。
そこでお伝えしていることのひとつが、
発音の修正をしたい段階では、シャドウイングをしないでください
ということ。

学習途上、発音をこれから完成させる、という段階なら、まずはピンインを正しく音読できる、というゴールに向かって突き進みましょう。

その後、
あんな素敵な朗読がしてみたいなあ
とか、
あんな風なしゃべり方をしてみたいなあ
という、理想の話し方が見つかったら、ぜひシャドウイングをしてみましょう。

上で挙げたような動画はスピードが速くてついて行けないかもしれませんが、そうしたら、シャドウイングではなくても、物真似をしてみましょう。
ニュースキャスター調、朗読調、ドキュメンタリー調、幼児番組調、そのほかにもドラマの役柄による話し方など、観察してみればいろいろなイメージの話し方があり、それぞれに発声や抑揚の特徴がある。
たまに〈玲瓏りんろん〉の音読お茶会にきてくださる岡本悠馬さんが、そういう色々なバリエーションを楽しんでいらっしゃるそうです(一例が9月の音読お茶会)。よい楽しみ方を教えていただきました。

10年前に自分で書いたブログを読み返したら、目的による音読方針の違いについて気付いていた様子。


まずは正しいピンイン読み上げ。それから意味を伝える発話。基本を忘れずにがんばります。

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