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りんず中国語ラボは日本人講師による中上級者のための中国語発音矯正レッスンをおこなっています。

  1. 中国語の発音の世界

蚊なのか蛾なのか:無気音と濁音のはなし

中国語の発音と発音矯正

中国人少年が「が」を「か」と発音するのはなぜ?

小学生むけ学習教室のお手伝いをしていて、中国語ネイティブの少年の音読を隣で聞いていました。
日本の国語のプリントです。

そこで気づいたのは、その子が 「濁音」 を発音しないということ。
とくに「が」については、日本語耳だと「か」に聞こえます。

「水が流れる」 が 「みず か なかれる」に聞こえる。

なぜでしょうか? 中国語をやっている皆さんならおわかりですね。

答えは……

「境い目が違うから」

です。

「これとこれは違う音」と感じる境い目がある

まず、日本語ネイティブにとって清音の「か」と濁音の「が」はどのような関係かというと、こうなっています。

【「か」に聞こえる音】から【「が」に聞こえる音】までは、幅の広いグラデーションの変化があります。
虹の色が無段階に変化しているさまに似ていますね。

その間のある一点に、大勢の日本語ネイティブが「境い目」だと感じる点があります。
この音は「か」に聞こえる。
この音は「が」に聞こえる。
という聴覚認識が切り替わる点です。

ついで中国語ネイティブにとって有気音の / ka / と無気音の / ga / もおなじようなグラデーション変化でつながっています。

【 ka に聞こえる音】から【 ga に聞こえる音】まで無段階の変化があって、その間のある一点が、
この音は / ka / に聞こえる。
この音は / ga / に聞こえる。
という聴覚認識の切り替えの境い目になっています。

ということで、冒頭の学習教室の男の子にとっては、日本語の濁音を聞いても、中国語の無気音の無限の変化のなかの音として聞こえているのです。

この子にとっては、有気音 /ka/ と無気音 /ga/ の間に「違う発音だ」と感じる境い目があり、その境い目を超えてしまったら、「か」も「が」も無気音のバリエーションにすぎず、発音の違いを感じられない。

だからプリントに「が」と書いてあれば無気音で読む。

でも日本語耳を持った者が聞くと、その子の無気音 /ga/ は、

【日本語でここから先は濁音に聞こえる境い目の音】よりずっと手前の音だから「か」に聞こえる。

そういうことになっているわけです。

日本語ネイティブが無気音を発音するコツ

 

もういちど図を見てみましょう。
日本語で「清音」と感じられる音の範囲の中に、中国語の有気音と無気音の境目があります。

 

というわけで「が」とは言わない「か」と聞こえる範囲の中で
(1)有気音は気流音をはっきり聞かせる
(2)無気音は気流音が目立たないように優しく破裂させる
というコントロールが必要になります。

ピンインを見ると「g」と書いてあるのに、自分の耳では「か」に聞こえる音を発音するのが「気持ち悪い」と感じる学習者さんは多いようです。

でも、ピンインって、ローマ字を発音するための道具ではありませんからね。
まずは耳で聞こえた音を模倣する意識で練習しましょう。


なお、中国語ネイティブのすべての少年少女が、今回取り上げた少年と同じように日本語の濁音を発音しないというわけではありません。
その子の言語環境や学習歴によって、当然ながら第二言語習得の状況は変わってきます。
今回の事例は、中国語耳と中国語発音が身に付いた子どもの、第二言語を習得する過渡的な段階に見られる現象の好例でした。同年齢でもすっかり両言語の境い目を使い分けられる子もいます。

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