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ピンインをカタカナで書くとき準拠すべき表記ガイドライン

中国語学習

外国語の発音をカタカナで書き表すのは、どうしても無理があります。
特に中国語の場合は、日本語では書き分けられない発音があり「あれもシャン、これもシャン」というような困ったことが起こります。
現地ニュースの紹介など、どうしてもカタカナで書く必要があるんだけど、これに従えば大丈夫!という信頼できる中国語表記ガイドラインがありますので、ご紹介します。

もくじ

【メディアで見かけるカタカナ表記】
【自分でカタカナ表記を付けるときに困ること】
【このガイドラインなら信頼できる】
【まとめ】

【メディアで見かけるカタカナ表記】

新聞報道であれば、中国と日本とでは互いに「地名や人名は漢字で表記し、報道する現地の発音で読んでよい」という協定を結んでいます。
習近平は「しゅうきんぺい」と読み、安倍晋三は“●●”と読まれています。
メディアによっては独自の基準を設け、習近平(シー・ジンピン)といった表記にしていることもあります。

ネットニュースや芸能関連サイトでは、現地音をカタカナで書くことのほうが多いですね。
章子怡を「チャン・ツィイー」と表記するというようなことです。

この「チャン・ツィイー」は、おそらく中国語のピンインに基づいたローマ字表記“ Zhang Ziyi ”の読み誤りでしょう。
漢字音通りに読めば「ジャン・ズーイー」あたりになるかと思いますが、もう「チャン・ツィイー」で定着していますね。

【自分でカタカナ表記を付けるときに困ること】

チャン・ツィイーほどの大スターだったら、定訳といえるような表記が日本で定着しているので迷うことはありません。
でも、中国のニュースや芸能記事を紹介したり翻訳したりするとき、文芸作品を翻訳するとき、自分でカタカナ表記を考えなければならないことがあります。
わたしの友人のMさんはテレビ制作会社にお勤めで、複数の中国人社員がそれぞれ提出してくるカタカナ表記がバラバラなので、困っていたそうです。

例えば“刘胜利(Liu Shengli)”という人名があるとします。
日本漢字では「劉勝利(りゅう しょうり)」ですね。

これをカタカナで表記しようとしたら、どうしましょう?

“liu”:(1)リュウ、(2)リウ、(3)リュー

あら。
名字だけで3パターン出ちゃいました。

“sheng”:(1)シェン、(2)シャン、(3)ション、(4)シェーン、(5)シャーン、(6)ショーン
“li”:(1)リ、(2)リー

ええと、順列組合せで、全部で何通りでしょう。えーっと、……いっぱいです!
このなかのどれを選べばいいのでしょう。
さあ困った。

試しに「リウ・シャンリー」にしましょうか。

では、“陆香丽(Lu Xiangli)”という人名が出てきたらどうしましょうか。
いろいろ考えて「ルウ・シャンリー」にしましょうか。

あら。
“刘胜利(Liu Shengli)”と“陆香丽(Lu Xiangli)”が
「リウ・シャンリー」と「ルウ・シャンリー」で
そっくりになっちゃいました。

さあどうしましょう。
これで合ってるのかしら。
このままでいいかしら。
いくつも人名が出てきたら、同じピンインは同じカタカナに統一しないといけませんから、何らかの基準がほしいですよね。

【このガイドラインなら信頼できる】

その悩みを一掃してくれるガイドラインがあります。

中国語音節表記ガイドライン[平凡社版](2011年8月1日公開)
http://cn.heibonsha.co.jp/

学術的裏付けがあり、丁寧な検証を経て完成されたガイドラインです。
完成にいたる間にベータ版が公開された際には、微力ながらわたしも意見を送りました。

このガイドラインの素晴らしいところは、
メディアに記載されることを想定した「(α)メディア向け表記ガイドライン」と、
教育現場やテキストで使用されることを想定した「(β)語学教育向け表記ガイドライン」の、
二種類が用意されている点です。

学習用には、漢字音を丁寧に反映し、そのカタカナ表記を読み上げることで、いささかなりとも中国語に近い発音ができることを意図した表記が行われています。

ただし、それでは一音節に必要なカタカナの文字数が多く、メディアの記事執筆に不便だったり、見た目に煩雑だったりするきらいがあります。
それで、メディア用には、ある程度漢字音を踏襲しつつも、文字数をいたずらに増やすことなく、簡潔に表示できることを意図した表記が行われています。

【まとめ】

カタカナ表記はけしからん!といって排除するのではなく、どうしても実用面で必要なのであれば、適切な統一表示を用意しておく、というポリシーには私も賛同します。

現在公開されているバージョンは、十分に実用に耐えうるガイドラインだと言えます。

ぜひご自身の趣味や業務にお役立ていただき、もし、まだこのガイドラインの存在を知らない方がいたら、
「こんなのがあって、信頼できるガイドラインらしいよ」
ということを伝えてくださいね。


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