これから中国語を学ぼうという高校生を対象に、授業をしてきたんですよ。
それが、50分授業で中国語の発音基礎知識のほとんどをインプットするという 無理ゲ なかなかハードルの高いチャレンジだったのですが、頑張ってきました。
たったの50分、時間がありませんので、すぐにでも音節の発音練習に入りたいところです。
なのですが、わたしには、どうしても伝えたいことがありました。
それだけはなんとか時間をとりたくて、スライドを作ってねじ込んできたんですよ。
これから新しい語学を勉強しようという若者たちに、伝えたかったこと。
それは、「なぜ学ぶのか」「どうやって学ぶのか」ということ。
超特急で話したその内容を
「なぜ発音が大事なのか」
「発音を学ぶとは何を学ぶのか」
「これからどうやって中国語を学ぶのか」
「安定した発音を身につけるまでにやるべきこと」
に分けて書いてみようと思います。
これから中国語を学ぶあなたに伝えたいことシリーズ
その1 なぜ発音が大事なのか ← now here
その2 発音を学ぶとは何を学ぶのか
その3 これからどうやって中国語を学ぶのか
その4 安定した発音を身につけるまでにやるべきこと
なぜ発音が大事なのか
意思疎通のために大事
発音というのは、その言語を声に出して表現するときの音の出し方のことです。
それなら発音を学ぶ目的は、会話で話が通じること、なのでしょうか?
- 自分の言いたいことを声に出して話す
なぜ発音が大事なのか。
まずは声をつかったコミュニケーションのために必要だということは間違いありません。
では声を出すというコミュニケーションには、どんなシチュエーションがあると思いますか?
目の前にいる相手に話しかける。
電話の向こうの相手と話をする。
話の内容は、事実を伝える、相づち、感想、質問、質問への回答などが日常的ですね。
さらに、同意を求める、助けを求める、要求を伝える、禁止する、非難するといった内容も必要になりますし、
意見を表明する、プレゼンテーションをするといった場面もあるでしょう。
ひいては、個人ではなく団体の代表として発言する、通訳を行うなど、他の人の代弁者として話をすることもあります。
わたしたちのコミュニケーションには、このように多くのパターンがあり、
それぞれのコミュニケーションにはそれぞれの目的があります。
わたしたちが声を使って何かを口にするとき、なにかしら実現させたい目的があるということです。
そのためにわたしたちは、通じる発音を身につけ、聞いた人がわたしたちの意図を誤らずに受け取れるようにする必要があるのです。
- 誰かの話を音で聞く
そして発音が大事な理由は、自分の意思を相手に伝えるためだけではありません。
誰かが自分になんらかの情報を伝えようとしているとき、その内容を正確にキャッチすること、それも発音学習の大事な目的です。
目の前にいる相手の話、テレビ・ラジオ・動画などの音声コンテンツ。
それだけではありません。
講義を受けて先生の話を聞く、壁の向こう側にいる姿の見えない人の話を聞くということもあります。
さらに、生身の人間の声だけではなく、
今いる場所で流れている案内放送、スマート家電が出す音声メッセージなど、
生活の中には、いろいろな音声から情報をインプットするシチュエーションがあります。
とくに禁止、警告、指示などは、すぐに受け取って反応できた方が身の安全につながりますよね。
つまり発音を学んでおくことは、会話をすることだけにとどまらず、音声を用いた情報摂取全般のために必要があるというわけなのです。
中国語習得のために大事
会話はしなくてもいい。連絡はチャットで行うから——。
これはその高校で生徒さんが実際に発言していた内容だそうです。
人と話をしなくてもいい。中国語は読み書きの教養と楽しみのために学ぶから——。
当ラボにもこうおっしゃる受講生さんもいます。
言語を学ぶ目的は人それぞれ、楽しみ方も人それぞれですので、いいと思います。問題はありません。
でも。
だからといって、発音の学習をしなくてもいいというわけにはいきません。
やっぱり発音は大事なのです。その理由をお話ししましょう。
- 辞書が引ける
知らない単語に出会ったとき、どうしますか?
辞書を引きますよね。
このとき、聞いた単語をピンインでどうつづるのかが分かれば辞書が引けます。
聞いた単語をピンインでどう表していいのかがわからないと、辞書を引くことができません。
新しい単語に出会ってもお手上げです。
テキストに出てくる単語なら、辞書を引かなくてもそこに意味と発音が書いてあります。
だから大丈夫?
ちゃんとピンインをルール通りに読み上げられるなら大丈夫です。
でももし、ピンインの読み方を間違っていたとしたら、せっかくテキストで覚えた単語も通じません。
こりゃ大変、です。
- 入力ができる
紙とペンがあれば筆談ができる、というのは今でもまあまあ真実ですが、この時代、電子デバイスに入力することからは逃れられません。
一部のデバイスでは、手書き入力ができますが、できないものも多数あります。
ではどうするかというと、PCでもスマホでも街なかのタッチパネルでも、ピンインを使った入力をすることになります。
(ピンインじゃない入力方法もありますが、そうとう玄人好みなので一般人は知らなくてもよいかと。)
このとき、ピンインのつづりがうろ覚えだと、いくら頑張っても目指す漢字が出てこないということになってしまいます。
声はどうか?
はい。今は音声認識も発達していますね。AIがかなり賢いので、音声認識で中国語を入力することもできます。
でも、もうお分かりですね。
発音が不正確だったら、いくら賢いAIといえども、別なつづりの音節と認識してしまいますから、いくら頑張っても目指す漢字が出てこないというわけです。
まとめ
発音学習の意義は会話にだけあるのではない! というお話をしてまいりました。
サバイバルに直結する意思疎通、そして情報摂取のためにも発音は大事。
そして、これから中国語学習を続けていくにあたって、効果的な読み書きの座学を行うためにも、やっぱり発音は大事。
たとえ中国語を学んでやりたいことが読み書き・視聴だけだっとしても、発音を正しくコントロールすることがあなたの中国語ライフをよりいっそう楽しくしてくれますよ。
(つづく)
→ その2 発音を学ぶとは何を学ぶのか