日本人発音講師による中国語発音矯正専門教室

 

 

りんず中国語ラボのレッスンは「中上級者のための日本人講師による中国語発音矯正レッスン」です。安定した発音が定着し、身につけた発音が退行しないトレーニング方法をお伝えします。中国語の発音を矯正したい方、キレイな発音に憧れている方はりんず中国語ラボへ。

  1. 中国語の学習のはなし

発音学習における子供の天才的コピー能力に大人は勝てるか

中国語学習

「お子さんには中国語を教えているんですか?」
と聞かれることがあります。
子供たちはわたしがレッスンしている姿を見てはいますが、教えてはいません。
せいぜい、1から10まで言えるとか、「妈」と呼ばれて「儿子」「女儿」と返すくらいです。

実は我が家の娘は、3歳からオール英語の幼稚園に通わせました。
遠方から車や電車で通う人がいるようなインターナショナル幼稚園が、歩いて10分の距離にあるんです。
お得です。

4年間、9時から14時半まで週5日。
英語で遊び英語で生活し、英語で叱られ、英語で学ぶ日々。
もう本当にスポンジのようにどんどん吸収していく過程を見るのは、語学講師としてとても興味深いことでした。

大人の外国語学習と幼児の外国語学習は、話に聞いてはいましたが、まるで違うということが実感できました。
なにしろ、文字の読み書きができないのに口頭で話の受け答えができるんです。
もちろん、やがては読み書きも教わるのですが、最初は音だけの英語の世界に飛び込み、それで意思疎通ができる。
18歳からの中国語学習で文字から入ったわたしには、まあとにかく新鮮でした。

あるとき、わたしが発音した「rabbit(うさぎ)」の発音が違うと言って、かなりの回数のダメ出しをされました。
娘が4歳の頃だと思います。
「rabbit」の「r」も「a」も「i」も「t」も直されました。
耳が日本語の音で固定されていなくて、幼稚園の先生の発音とわたしの発音のほんのちょっとのずれが「発音の違い」に聞こえるんでしょうね。
羨ましいことです。

9歳になった今では、多くの日本人は日本語なまりの英語を発音するのだということを理解したようで、何も言わなくなりました。
発音には許容範囲があって、彼女にとっての許容範囲を、日本語の母語干渉のある発音にまで広げたのでしょう。
それでも、こんなことがあります。
見たことのない単語に出会うと、わたしに意味を尋ねてくるんですよね。
わたしは高校までの英語学習の知識を総動員して意味を伝えるし、ついでに発音もします。
そうすると彼女は、ありがとう、と礼をいいつつ、思い直したように電子辞書を引いて単語を発音させます。
そんでもって、わたしより数倍ネイティブっぽい発音でリピートして、その発音を記憶しようとしています。
わたしの日本語干渉のある発音ではなく、規範的な発音の方で覚えたいのでしょう。

幼児期に外国語を学ばせると、こういう過程をたどり、こういうメリットがあるのだなあと感慨深いものがあります。

ではわたしたち大人が、大人になってから外国語を学ぶにはどうしたらいいのでしょうか。

これはもう断言しますが、幼稚園児のように読み書きのない状態で言葉のシャワーを浴びても、大人にとっては効果はありません。
大人は、母語として身につけた言語があると、発音にしてもリスニングにしても、その母語のシステムを活用して発音しようとし、聞き取ろうとしてしまいます。
その言語らしいポイントが分かればいいのですが、「どこがポイントか」を教えてもらわないと、そこに注意を向けることができないのです。

母語の次に、何か一つでも第二言語をマスターしている人は、そこらへんの感覚が育っているので「母語とは違うポイントがある」ということに意識を向けやすくなります。
たとえば、日本語母語話者で、英語を自在に話せるようになった人が、その後に中国語を学ぶとしたら、「初めて外国語を学ぶ」人に比べるとマスターが早いはずです。
発音でもリスニングでも文法でも、第二言語をマスターするまでに通ってきた習得過程で、母語一辺倒の世界から多言語の世界へとパラダイムシフトが起こっているんです。
この世には、母語とは違う言語があるんだということを脳が認知していて、対応力が養われている、というような言い方をしてもいいかもしれません。

子供は柔軟な耳と口を持っています。
それに対して大人は、秀逸な脳を持っています。
大人は、理屈を知ることさえできれば早期に全体像を把握します。

だから、ある言語を同時期に習い始めた大人と子供がいたとして、整った文を話し始めるのは大人の方が早いのだそうです。
(参考:『英語教師のための第二言語習得論入門』白井恭弘著)
子供の天才的なコピー能力に対して、大人は勤勉な理論的学習により言語をマスターするのです。
大人も捨てたものではありません。
理屈があればわかる大人、ばんざい。

ただ、整った文を話し始めるのが早かった大人を置き去りにして、子供はその後もぐんぐんと吸収して、フィーリングと大量インプットとでナチュラルな言語を習得するそうです。
その吸収力は、なにも外国語だけに発揮されるわけではなく、学校で教えられる膨大な知識をモノにしていけることから考えて、どうしたって成長期の子供の方に分があります。

そう考えると、やはり幼児やローティーンの外国語学習方法はあてになりません。
大人は、理屈でわかるというアドバンテージを生かして早期に言語の全体像をつかむ。
その後、継続的にインプットと復習を繰り返し、理解語彙(パッシブな語彙)を使用語彙(アクティブな語彙)に変えていく努力をする。
それにつきます。


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