単語だけを発音するなら、いい発音ができるのだけれど、長文の音読になるとどうも発音が悪くなる。。。
そういう悩みを持っている人は案外多いものです。
一文字ずつだったらいい発音ができるのだけれど、二文字以上の単語になるとどうもうまくいかない。。。
そう言ってお悩みの方もいらっしゃいます。
素敵な文章を音読したい、ネイティブの友人と楽しくフリートークがしたい、そのためには文の発音をちゃんとコントロールすることは必須になりますよね。
今回はその対策についてお話ししてみましょう。
一文字ならいいのに単語になるとうまくいかない
漢字一文字ではしっかり発音できるのに、漢字二文字になると発音がくずれる、というケースがあります。
だいたいの場合、一文字目の発音の口の形が、二文字目になっても残ってしまっていることが原因です。
逆に、これから発音しようとしている二文字目の口の形を、一文字目の発音の間に始めてしまっているという場合もあります。
文字数が増えることで緊張してしまうのでしょうか。
口がこわばってしまうと、意図したわけでもない動きが起こったりしてしまいますよね。
単語ならいいのに文になるとうまくいかない
テキストの「新出単語」の欄はまあまあ音読できるのに、テキスト本文の長文を音読すると、なんだか不自然だ、ということがあります。
なにが不自然かというと、
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- 音節ごとにつぶつぶ読みをしている
- ずっと区切りなく音読している
- 声調のベースとなる高さが一定しない
- 音節の長さが文脈と関係なく不揃い
- 文が終わった感じがしない
- 緩急抑揚がない
といった特徴が出ることが多いようです。
ではどうしたら克服できるのでしょうか。
中国語は前後の音と混ざらない
二文字になると口がこわばってしまう、前後の音節の発音に影響を受けてしまうといった場合、じつは一文字の発音も定着・安定していないということが考えられます。
練習回数の不足なのか、苦手意識による自信のなさなのか、または「中国語は前後の音と混ざらない」というルールを知らないためなのか、なにかしら100%の自信が持てない理由があるのでしょう。
まずは一文字の子音・母音・声調を確実にすることが大事です。
ピンインのつづりと耳から聞こえるモデル音声と、自分が発音した音をよく聞いて、ピンインを見たらぱっと反応して発音できるようにしておきたいものです。
二文字になっても子音・母音を確実に
次に、一文字の発音で規範的な発音が出るようになったら、文字数を増やします。
このとき、文字が増えたからといって一文字の時と発音を変える必要はありません。
二文字続けて音読しても発音が乱れないように、意識としては一文字目の発音がすっかり終わってから二文字目の発音を行います。
そのとき、文字と文字の間があまりにも開いてしまうと、一つの単語として聞こえなくなってしまいます。
しっかり発音は切り替える、でも二つの文字はできるだけ連続的に並べる、その意識を持ってトレーニングしましょう。
二文字で声調組み合わせを確実に
2音節の組み合わせパターンを練習することも有効です。
子音や母音が苦手な方もいれば、声調が苦手な方もいるので、声調に課題を感じている人は、迷わずトレーニングに取り組んでください。
組み合わせパターンの練習が重要である理由について、こちらの記事で書いていますので参考になさってください。
声調がこの組み合わせの時は上がり下がりのパターンがこうだ! という感覚が身に付いたら、声調についてその後は悩む必要がなくなります。
三文字は「2+1」か「1+2」
二文字が三文字に増える時は、そんなに大変ではありません。
ピンインを見ると、一文字の時に比べてこんなに長くなった! と感じるかもしれません。
でも、意味を考えれば三文字の単語でも三文字のフレーズでも、たいていは「二文字+一文字」あるいは「一文字+二文字」という風に分解できます。
その呼吸がわかれば、一文字の発音をしっかりさせてきた上に、二音節の組み合わせパターンで声調組み合わせパターンまで練習してきた、これまでの基礎力で乗り越えられます。
意味のまとまりをみつける
先ほど、文の音読で不自然になる理由として挙げたもののうち、
- 音節ごとにつぶつぶ読みをしている
- ずっと区切りなく音読している
- 文が終わった感じがしない
こういったクセが出ている場合は、意味のまとまりについての意識が少し薄いのかもしれません。
「どんな何々」「何をどうする」「どんな風に◯◯する」といった内容を、中国語ではだいたい三文字から多くても六文字くらいで表現します。これを「意味のまとまり」と読んでいます。
意味のまとまりがちゃんと意味として聞き手に届けられるようにするためには、次のような方法があります。
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- つなげる
- 区切る
- 緩急抑揚
つなげるとは、そのまとまりの中ではできるだけ声を切らないことです。
区切るとは、句読点の箇所でしっかりと休み、すこしの間(ま)を開けることです。句読点の箇所は文法構造としては文が終わっている箇所なので、終わった感じが出るよう、文末の音の高さを少し低くするのもいいでしょう。
句読点の他に、意味のまとまりがとても長い場合に、文法的な構造の切れ目でもすこし区切った方が発音しやすいし、聞き手も聞き取りやすい、ということもあります。
緩急抑揚とは、読んで字の如しです。文のテーマからみて、目立たせたい語を目立つように発音し、目立たせなくてよい語はさらっと軽く発音する。
こういったコントロールができるということが、中国語を中国語らしく発音する方法なのです。
大きく息を吸っておく
さて、文になったら発音が乱れるという場合、文字数が多いから息が続かなくなる、という課題が潜んでいることもあります。
母語に比べて外国語の発音にはやはりエネルギーを使いますから、日本語でならなんということもない文字数でも、中国語だとあっという間に疲れてしまうということがあります。
その対策としては、一文の間に息切れしないよう、大きく息を吸っておくことが有効です。
大きく息を吸うということは、発音に使える空気をたくさん肺に蓄えておくということです。
そして肺にたくさんの空気が入るためには、姿勢をよくしておくことが必要です。
肩が丸くなっていたり、背骨が丸くなっていたりすると、あちこちがつっかえて肺が空気でふくらむのを邪魔してしまいます。
ですので発音のレッスンのまえに姿勢や呼吸のレクチャーをすることもあるんですよ。
第三者に発音をみてもらう
ここまでお話ししてきたようなことは、音節の発音ができるようになったその後に取り組むことです。
発音練習というととかく、「子音+母音+声調」のピンインを音読すること、というイメージがあります。
それが発音できるようになった後に、どうやって発音できる文字数を増やしていくか、長い文をどうやって自然に発音するのか、ということも発音練習の大事な一環です。
もし独力でその段階を越えられるのなら万々歳です。
でも、どこが不自然なのかということは、なかなか自分では気づきにくいものです。
自分も苦労して乗り越えてきたような先輩や、いろいろな事例を見ている先生と出会い、客観的な目で発音を観察してもらうということが、結局は一番の近道といえます。
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音節から文へ。レベルにあったトレーニング法を提案しているamazonペーパーバック『中国語の音とリズムを楽しむ りんず式中国語発音矯正』は2022年8月8日刊行。
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