大人が発音矯正をするためには理屈から伝える、というのが信条なので「知らなかったことを教わった」「分かりやすい」と言っていただくのはもちろん嬉しい。
私が発音レッスンを始めた当初は、その理屈を伝えることがとても大事だと思っていました。けれどしばらく続けてみたら、それ以外にも講師の役割があるということを実感するようになりました。
一つは、本人が無自覚だったクセを指摘すること。もう一つは、修正方法を伝えるだけではなく、適切なトレーニングの設計とサポートをすること。
考えてみれば理屈や知識は独学でも得られる。
独学では得られないマンツーマンのサポート、その人その人に合った問題解決をすることこそ、私のようなプライベートレッスン講師の価値が発揮できる役割なんだな、と思うようになりました。
真面目な性格の受講生さんに「こういうトレーニングをしてください」と提案すると、きちんとこなしてくれます。
そして、一週間単位で目に見えて発音が変わる。体調が悪くてトレーニングできなかったときは少し戻る。自宅トレーニングの効果って、ありありと分かるものですね。
それだけに、適切なトレーニングの設計がとても大事です。
私のレッスンを受けるまで、熱心にシャドウイングをされていた受講生さんがいます。「発音をよくしたい」と相談すると、きまって「シャドウイングをおやりなさい」と指導されたとのこと。
シャドウイングは、ある技術を伸ばすためには確かに有効ですが、すべての人にすべての場合に有効なわけではありません。
発音を直したいと願っている人が懸命にシャドウイングをしても、クセのある自己流の発音を身体に覚え込ませるだけです。リスニング音声の発音と自分の発音のどこが違っているのかを聞き分けることもできません。
発音をよくしたいと願っている学習者は、「発音レッスン」を看板に掲げている講師にまずは発音チェックをしてもらってほしいと、心から思います。
「発音レッスンができる」と名乗っている講師なら中国語の音声学や漢語教学について知識があるはずなので、ネイティブの先生でも日本人の先生でもかまいません。
まずは
1)自分の発音のなにを直したらいいのか
2)ポイントを絞ったトレーニングメニュー
を箇条書きで教えてもらってください。
メニューの作成に費用がかかったって安いものです。
そしてできれば、トレーニングの成果を後日また確認してもらえるといいですね。
私のピアノの先生も、私の自宅トレーニングの様子が、きっと手に取るようにお分かりになるんだろうな、と思うとちょっと冷や汗ものです(^^;)