~ Yahoo!知恵袋の質問に私が書いた回答のアーカイブです ~
日本の職場で中国人が働くときのあるあるとして、わりと聞く話ですね。
敬語があるかないかで言えば、ある、のですけれども、「話し方や敬称・自称で相手と自分の立場をはっきりさせていく日本の敬語とおなじシステム」があるかといえば、それはほとんどないですね。
宮廷ドラマ武侠ドラマなんかを見てると、独自の言い回しがあるみたいですけど、
今の一般市民の生活では使われていませんね。
【質問】2011/9/21
中国語に詳しい方おられましたらお願いします。
以前中国人のスタッフと仕事をしていたのですが、殆どの中国人スタッフの言葉遣いの荒さ、接客態度の大雑把さに最初は驚きました。悪気は全くないし、一人ずつはとても真面目でよく働き、きのいい人たちで、仲よくしていたのですが。
いちど、若い女性客に「おばさん」と呼びかけて上司に叱られたスタッフがいました。
聞くと、中国語の「老婆」は女性に対する敬称だからと言っていました。
他のスタッフも、言葉は上達しても、敬語だけはあまり使わない印象でした。
朝鮮族系のスタッフも何人かいましたが、彼らは日本人と似た感覚で早く職場になじんでいました。
もしかして中国語には敬語表現がそんなにないのでしょうか。
面子や、長幼の序を大切にするイメージもありますが、(韓国や北朝鮮も)
中国人の言語感覚とは、日本人とはかなり違ったものなのでしょうか。
あと、中国人は合理的ではっきりとものをいう人が(私の周りでは)多いことと、言葉の言い回しと関係しているんでしょうか。
個人的にはあいまいで遠回しな表現の多い日本人より中国人のほうが付き合いやすいです。
その辺をご存知の方に教えていただきたいです。また、東北部の朝鮮語の敬語表現についても教えてくだされば嬉しいです。
【わたしの回答】2011/9/21
“若い女性客に「おばさん」と呼びかけて”の件:
子供や若者が年上の女性を“阿姨”(おばさん)と呼ぶことは、「あなたより私の方が若輩者です」という態度を示すことになるので、一種の敬語表現です。
日本人が小さい子供に「ほら、ご挨拶しなさい」というようなシチュエーションで「ほら、“阿姨”と呼びかけなさい」と促したりします。
「おじさん」に対しては“叔叔”などの言い方が同様に使われます。
子供や若者が年上の女性を“阿姨”(おばさん)と呼ぶことは、「あなたより私の方が若輩者です」という態度を示すことになるので、一種の敬語表現です。
日本人が小さい子供に「ほら、ご挨拶しなさい」というようなシチュエーションで「ほら、“阿姨”と呼びかけなさい」と促したりします。
「おじさん」に対しては“叔叔”などの言い方が同様に使われます。
外国人にとって、日本語の敬語は難しいようです。朝鮮語には日本語と同様に語尾の変化や単語の使い分けによる敬語表現があるので、それから類推して日本語の敬語もラクに習得できるようですが、中国語のように日本語とは違うポイントで敬意を表す言語文化の人にとっては、習得はラクではないようです。
たとえば日本人がフランス語を習うと、格変化や性で戸惑いますが、文法的にはそれと同じように戸惑います。また、言葉を使い分けて敬意を表すという文化を身に着けなければいけないので、日本語とともに日本の文化というか、すくなくとも言語文化をきちんと教えてもらえる環境がないと、知らないままになってしまうかもしれませんね。
“合理的ではっきりとものをいう”点については、私も同感です。文では動詞が先にきて、文章でも結論が先に述べられるという傾向があるのも事実です。でも、言葉の違い以外にも、性格的なもの、価値観なども関係しているように思います。
日本人があいまいで遠回しな表現をするのは、それが望ましいと家庭や人間関係の中で教育されているからであり、中国人が合理的にはっきりモノをいうのは、やはりそれが望ましいと家庭や人間関係の中で学んできているからだと思います。
私の友人・知人の中国人たちにも、合理的でユーモラスな人もいれば、直截的であたりがきついと感じる人もいれば、柔らかくてまずカドが立たない人もいます。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1171747196