去年から仕事内容を徐々に変えてきて、ついに10年来のお付き合いの翻訳エージェントさんに、お別れのご挨拶をしました。
勝手な申し出なのにもかかわらず、別れを惜しんで登録内容を
「休業中」
に変更してくださいました。
感涙。
翻訳会社さん・通訳会社さんとどのように縁をつくるか、で悩む方が大多数の中で、ちょっと珍しい体験だと思うので、書き留めておきたいと思います。
スケジュールが合わなくなってきた
この10年ほど、実務翻訳、中国語関連書籍の校閲、書籍翻訳…、などを平行してお引き受けしていました。
昨年、一大決心をしまして、実務翻訳は仕事の中心にしない、収入源は講師職にシフトする、と決心しました。
それ以前にも、書籍翻訳の長期案件があるため、翻訳会社からの案件をお断りすることが続き、いくつかのエージェントさんからは自然とお声がかからなくなっていました。
最後に、一番お付き合いの長いA社から、翻訳チェックのみを受けていました。
A社さんは、初めて翻訳会社の登録翻訳者になったという、わたしにとって忘れられないエージェントさんです。
十数年のお付き合いで、役員の方とお食事をしたこともあり、近年はわたしのスケジュールに配慮して一晩でできるような小案件を依頼してくださっていました。
なのでわたしも、ありがたいお付き合いだと思って、A社さんの案件はできるだけお断りせずに引き受けようと思っていました。
ところが。
昨年、中国語発音講師を始めてからは、スケジュールが合わなくなってきました。
受講生さんとのレッスンは、日時が決まったら動かせませんので、スケジュールの融通を利かせるとしたら、翻訳・翻訳チェック案件の作業時間のほうを調整することになります。
そうなると、もともと午後は稼働時間に算入していませんし、レッスンの入っていない日に納品できる案件だけを選ばなければなりません。
ひっきょう、お断りすることが増えました。
最後には、毎月1~3件、半年で3~4万円という状態でした。
そして受注すると、A社さんの場合はチェッカーの役割がいささか多く、翻訳者にフィードバックを戻し、翻訳者さんの最終訳稿をいただいてからレイアウト仕上げをして納品、という作業を深夜に行わざるを得なくなってしまったのです。
案件数が少ないにもかかわらず、睡眠時間を削って身体的負担がつのる状態になり、これではいけない、と思いました。
お世話になっているA社さんですし、自然消滅というのも義理を欠く感じがあるし、しばらく悩んでいましたが「やっぱり続けられない」という気持ちが強くなったので、ついにやめる決心をいたしました。
こういうふうに挨拶しました
スケジュール的に受けられない案件の打診が来た際に、まずはその案件が受けられない旨のお返事をしました。
そのときに「今後も受注をしないこと」を簡単に書き、詳しくは別メールします、と書きました。
その別メールで、その案件のコーディネーターさんと、かつてお食事をした役員さんに同報で、詳細を書きました。
「受注できなくなるお詫び」
「これまでのお礼」
「今後も人材の紹介ならこれまでと同様に可能です」
という提案を書き、これまで発注してくださった何人ものコーディネーターさんたちへのお礼を書きました。
翌日、役員さんから丁寧なご返信とお励ましをいただきました。
そして、「登録抹消」ではなく「現在活動休止」という扱いでよいか?というお尋ねをいただいたのです。
そのお気持ちがとってもありがたく、そのようにしていただきました。
というわけで、とても円満にお断りすることができたのです。
不義理をせずにすんでよかった。
複数職種のスケジュール調整――翻訳・講師・通訳
現在は実務翻訳&チェックをまったく受けていません。
中国語講師一本です。すっきりしました。
翻訳、書籍制作、講師、キャスター、と色々組み合わせたがむしゃらな時期もありました。
いろいろな職種を体験してみて、もっとも注力したいことに集中することにしました。
各職種のスケジュール的相性
実務翻訳と校閲:まあまあ
実務翻訳と団体ボランティア:まあまあ
実務翻訳と自主的翻訳:あまり両立しない
書籍翻訳と実務翻訳:あまりよくない(オファーをお断りすることが多くなる)
実務翻訳と講師:ダメ。翻訳を夜間に回さければならない
特許翻訳者のAyumiさんも、複数職種のスケジュール調整に悩んだお話を書かれていました。
少し前の記事ですがこちら。
Ayumiさんも、これと決めた方向に集中することに舵を切っておられます。
管理職やプロデューサーならまた別なのでしょう。
プレイヤーとしてフリーランスで働いていると、仕事の組み合わせは自分次第。