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  1. 言語と翻訳のたのしみ

生活経験が必要なのは

前回、日本語のリプロセシングができるようになったのは、「意思を伝えなきゃサバイバルできない」という状況で揉まれたからだ、と書きました。
どこで揉まれたかというと、いちばん分かりやすいのは2年間の留学。身体的にも精神的にもサバイバルを経験しました。

ところで、仕事で中国語を使っていてかなりのレベルにある方が「私は生活経験がなくて」とおっしゃる場面にたまに出会います。それは恩師だったり先輩だったり、それぞれ私が尊敬する実力をお持ちの方の場合もあります。
「生活経験がある」というのはたしかに、言語環境を得るにしても、異文化を肌で理解するにしても、とても有利です。
でも、生活経験がなくてもすばらしい使い手になっていらっしゃる先輩方を見ると、生活経験があることはベターでこそあれ、マストではない、とも思います。

留学以外で私が揉まれたのは、中国でのアテンド通訳、勤務先の業務で携わった通訳、日本でのアテンド通訳です。それからネイティブの友人との会話練習。
友人との会話練習は、容赦ないスピードで話してくれましたので、耳を維持することと様々な語彙の獲得にはとてもプラスになりました。ただし発話の練習としては、私が中国語の発話で言い淀んでも、正しい言い方に修正するのももどかしいとばかりに、意図を汲み取ってくれて話が進んでいってしまうので、あまり厳しくありませんでした。

やはり仕事で使う場面ではプレッシャーも大きいですし、期待されるパフォーマンスも高いですし、揉まれますね。
私も通訳学校を少しのぞいてみたことがありますが、あのレッスンと課題をきちんとこなせば、それはそれはすばらしいトレーニングになりますね。仕事で揉まれるのと同様の環境に身を置けると思います。

そんなこんなで、「生活経験は、なくてもOK」という結論です。
ただし、「言語の使用実態に即したインプットが必要」ということは言えます。

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あれは私がまだ中検準2級(現在の2級)に合格しているかいないか、旧HSK7級(現在の5級相当)にやっと合格したかどうだったか程度の時期。

北京で留学を始めたばかり、レストランで友人たちと食事をして、そろそろお会計を、となります。
なんだか私が店員さんに声をかける係みたいな雰囲気になって、私は教科書で覚えたフレーズを大きな声で言いました。

“小姐!”
……店員さんがこちらを向きます。
(※当時はこれでよかったんです。今はこういう時“小姐”はNGだそうですね)

“请结一下账吧!”(お会計をお願いいたしますわ)

“啊?”
……店員さん、怪訝そう。「はあ?」のイントネーションで聞き返されて、初心者なので萎縮する私。
一年早く留学していた友人、私の言葉を聞いたとたん、慌てたようにこう言いました。店員さんの“啊?”とほぼ同時。

“结账!”(お勘定!)
……店員さん、即座に動く。

「えー、教科書の文章を言ったのに通じないの?」とショックを受ける私。確かに、お店で“请结一下账吧!”なんて後にも先にも聞いたことがありません。
なんで教科書にそんな通じない例文が載っているのでしょう。ひょっとしたら、離合詞を学ばせるための文だったのかもしれませんが、生活実態にそぐわないことこの上ない。

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というような恥を幾度も重ねて、語彙や言い回しの収集には、現場に出たほうがいいでしょう、という学びを得たわけです。

言語の習得や上達のためには生活経験が必要、と言われるとしたら、その理由は、言語が実際に使用されている状況を見聞きすることができる、ということに尽きると思います。
だとしたら、言語素材が豊富にある現在では、もはや長期滞在は必須ではありません。

旅行や商談、知人との会話、映画、ドラマ、『聴く中国語』(CD付き雑誌)、『街なかの中国語』(東方書店。我田引水ですね)……。
なんでも題材になります。

編集を経たメディア素材ではない場合、言い直しや言い間違い、文法上の間違いなどもあるかもしれませんが、学習者としては基本文法を把握していれば対応できるでしょう。
TPOに適したフレーズを収集するつもりで耳を傾けているのは楽しいものです。

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