私があこがれている人はたくさんいますが、パラレルキャリアを持つ、という点において、あこがれて尊敬している人は上橋菜穂子さんと村上春樹さんです。上橋菜穂子さんは作家であり文化人類学者でもある。村上春樹さんは作家であり翻訳家でもある。そしてパラレルキャリアのどちらもが超一流。
3月に、『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事 』という本が出ました。その記念トークイベントが4月に開かれ、「小説は好きなように書いているのに対し、翻訳ではエゴをできるだけ殺している。交互にやることで精神の血行がよくなっている」とお話しされたそうです。
なるほど、それもパラレルキャリアの長所なのですね。どっちかで行き詰りそうになっても、別なほうでリフレッシュしたり自信を取り戻したりできる。
村上春樹さんといえば、翻訳に関して柴田元幸さんとの共著『翻訳夜話』『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』が必読です。中日翻訳専門の私にとっても学ぶところが多く、たくさんフセンを貼ってあります。
それから、小説家としての半生を仕事としてとらえたらどうか、という切り口の著書が『職業としての小説家』。自分のパーソナリティについてふんだんに書かれていて、フリーランサーとしても勇気づけられた本です。
それからこの本も、いろんな才能が垣間見られて、感服しちゃいます。
音楽について、すごく詳しいことが伝わってきます。ジャズだけでなく、クラシックも。すごいなあ。
そして、あの小澤征爾さんからおもしろい話をぐいぐい引き出すインタビュアーの才能と、それを読み物としてすっきりまとめる編集の才能。
この方、生活時間の管理がとてもしっかりしていて、規則正しく、毎日のランニングも欠かさない。
そういう面もひっくるめて、私も怠けていられないなあ、ってお手本にさせていただいてます。