1年間に4回だけ高校生向け授業を引き受けることになりまして、今日はその2回目の授業でした。
いつものクセで「今日のレッスンでは〜」と言ってから、ああ、高校の授業でレッスンとは言わないなあ、と思ったり。
高校生は、言語を覚える能力の面で、子供に類するのでしょうか、大人に類するのでしょうか。
もうだいぶ大人に近いので、「言葉のシャワー」式で学ぶのか「理屈」で学ぶのかで言うと、理屈で学んだ方がいい年齢です。
とはいえ、聞いた発音をリピートすることや、「ちょっと違うからこう修正して」と言われてすぐ音を変えられることは、さすがの若さなのかな、柔軟だなあ、と感じます。
「第3声の中心部分を低く平らに伸ばす」ことなんか、あまり説明していないのに、わたしのモデル発音の通りに上手にコピーしてくれます。
あ、ただ、クラスメイトの前で声を出すのが小っ恥ずかしいという問題は、ちょっと邪魔をしますけれどね。
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さてさて、そんな中国語の授業が2回目の諸君。
1回目の授業では単母音と複合母音、そして子音を3グループ学びました。
2回目の今日は、子音の残り3グループと鼻母音、そして二音節の声調組み合わせパターンを学びました。
今回の授業の白眉は、わたしとしては二音節の声調組み合わせパターンだと思っています。
二音節の組み合わせパターンをやっておくと、必ずや今後の財産になるんです。
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その組み合わせパターンですが、初めて挑戦する高校生諸君の発音に出るクセが、なんと、大人の発音矯正レッスンで受講生さんに見られるクセと同じだったんです。
おや、と思いました。
高校生は、まだクセがついていないんです。
慣れていないだけなんです。
その高校生に、発音矯正受講生と同じクセが現れるということは、日本語母語話者にとってこうなりやすい、という特定の原因があるのかもしれません。
高校生にも発音矯正受講生にも共通してみられるクセには、こんなものがありました。
第1声+第4声(māmà,车站)
第4声のはじまりが、第1声よりも高い音程から始まってしまいます。
第2声+第4声(mámà,学校)
第4声の始まりが、第2声の末尾よりも高い音程から始まってしまいます。
第3声+第1声(mǎmā,老师)
第1声が、これ以外の組み合わせの第1声の高さよりも低くなってしまいます。
つまり高低の幅が狭くなってしまうわけです。
第4声+第1声(màmā,汽车)
第1声の高さが、第4声の始まりよりも低くなってしまいます。
つまりこれ以外の組み合わせの第1声の高さよりも低くなってしまいます。
第1声+第2声(māmá,中国)
後ろの第2声がややたわんだ曲線となって上昇するため、第3声に似てしまいます。
音節が始まってから同じ低さで伸ばしていて、直線的に上がっていない時にこうなります。
第2声+第2声(mámá,足球)
後ろの第2声がややたわんだ曲線となって上昇するため、第3声に似てしまいます。
第1声+第2声のパターンと同じことです。
まとめ
発音に柔軟な高校生ですら、これらのクセが出るということは、おそらくわたしの受講生さんだけにとどまらず、日本語母語話者の多くの人に共通して出るクセだと思われます。
ここに落とし穴がある、と知っていれば、回避することができます。
ちょっと発音して、落とし穴のありかを観察してみてください。
そして、「あ、自分にもそのクセが当てはまるかも」と思われたら、これからの発音でぜひ口にする前から気をつけるつもりで意識してみてください。
落とし穴が回避できると思いますよ。