1. 発音のうんちく

桑田佳祐の母音と外国語会話

毎朝テレビから桑田佳祐さんの曲「若い広場」が流れてきます。今期の朝ドラの主題歌なのです。

終盤の歌詞が、耳で聞いていたときは

「希望に燃える声の 歌」だと思っていたら、

「希望に燃える 恋の歌」でした。

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最近私は中国語の発音のことばかり考えているので、歌を聴いていても自然とその発音に注意を傾けています。

桑田佳祐さんの歌い方は、ご存知のように独特な節回しと独特な発音が特徴です。

よく聞いていると、「と」の母音の舌の位置が規範的な「お」より前だったり、「り」の母音の舌の位置が規範的な「い」より後ろで低かったり、ほぼすべての音でそんないろいろな響きがあります。

でも、ちゃんと日本語として「と」や「り」やその他の発音に聞こえるのは、たとえ位置がずれていたとしても母音が「お」や「い」として認識される許容範囲内に収まっているから。

それと、前後の発音から類推して、なんという単語を発音しているのかが大体分かるから、聞き手の脳内で補正される。

さきほどの「希望に燃える声の 歌」と「希望に燃える 恋の歌」では、どちらの解釈もありえたので、自分が思い込んだほうの発音に引き付けて聞き取ってしまったんですね。

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外国語を話すときは、いわゆるきれいな、規範的とされる発音でなくても、円滑なコミュニケーションを図ることは可能です。ある音として認識される許容範囲と、聞き手の脳内補正があるから。

なんだけれども、細かいところでは、「声の歌」と「恋の歌」みたいに、相手が間違って補正してしまう場合もあるので、注意は必要ですね、と発音講師っぽいコメントで〆とします。

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