我が人生を前半と後半にぱきっと二つに分けていると言っても過言ではない中国留学。
二十代の終わりでしたから、とにかくわたしはいろんなことが「ぺーぺー」でした。
日本に関する知識も、世界に関する知識も、中国語もみんな未熟。
そんな時の思い出。
留学したての留学生が中国語を話すチャンスといえば、ダントツに多いのはタクシーの運転手さんです。
バスや電車も活用すればいいのですが、なにしろ交差点一つ渡るにも学校の校庭を横切るような規模感なので疲れます。
体力のない私は四の五の言わずにタクシーに乗るのです。
街に出ればたいてい書店に行き本の4、5冊は買って帰る日々でしたから、その日も本のかたまりを抱えていたのだと思います。
その運転手さんは、わたしの暮らしぶりを尋ねたくなったようです。
「留学中の生活費はどうしているんだい」
「わたしは中国政府から出ている奨学金があるのでOK」
「へえ、中国人と結婚してるんですね」
……あれ? わたし、中国人と結婚してるなんて言った? あ゛~~~っ!!!
もう、この記事のタイトルを見ただけでお分かりの人もいますよね。
“中国政府” と言ったつもりなのに、相手には “中国丈夫”って聞こえてた……。
恥ずかしながら、本当の話。
みなさん、母音の区別は大切に……。
“政府” zhèng fǔ
“丈夫” zhàng fu