ここにAさんとBさんという2人の受講生さんがいるとします。
2人とも声調にクセがあって、目下の課題は第2声だとします。
その2人に対するアドバイスが、まったく逆のアドバイスになるということが、あるんでしょうか?
あるんです!
ひとことで発音指導と言っても、どの人にも同じことをお話ししているばかりではないんですよね。
受講生さんが違えば、その人が持っているクセもひとりひとり違う。
第2声の場合で言えば、
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- 音程が高くなってしまう人
- 初めが強くなってしまう人
- カーブをつけてしまう人
- 上がりきらない人
など、いろいろなクセの人がいます。
上の例でいうと、例えば「1」の人には「もっと低くして」と言い、「2」「3」「4」の人には「もっと高くして」と言うことになるわけです。
もちろん「2」「3」「4」の人もクセやその理由が同じではないので「もっと高くして」の内容が少しずつ違ってくるわけです。
だからもし、グループレッスンを受けていて、同じ第2声へのアドバイスなのに「わたしは低くしてと言われたけど、あの人は高くしてと言われている」っていうことは実際に起こります。
先生のアドバイスが違っていても、そういうわけですから心配しないでくださいね。
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それから、その受講生さんの中国語学習のステージによって、目指す仕上がりにも違いがあります。
それは、ネイティブさんと同じような第2声にするのか、それとも初心者が再現しやすい第2声にするのか、ということです。
実際にネイティブさんが話している第2声は、基本的にはわりと高くて、この図のように1から5のゲージでいえば、3→5くらいです。
※第3声の後などでは、1→5の高さになります ところが、この「3→5」という高さの変化が、日本語母語話者にとってはやや難しい場合があります。
日本語は、「春夏秋冬」を「はる↓」「なつ↑」「あき↓」「ふゆ↑」と発音するように、高い音と低い音の2極を表現することが多いんです。
上のゲージで言えば、1と5の間を行ったり来たりすることですね。
となると、1と5の中間の3の高さというのが把握しにくいという人がかなり多いんです。
そこで初心者向けの発音授業では、第2声は「1→5」第4声は「5→1」と指導することが多くなっています。
その方が、むしろ中国語らしい高低のメリハリを表現できるようになるからです。
第2声を「3→5」で発音するのか「1→5」で発音するのか、その違いは、中国語ネイティブにとって意味の違いをもたらさない違いなので、違う声調には聞こえません。
ですので、学習者や非ネイティブ話者は「1→5」で発音してまったく問題ありません。
というわけで現場では、
- 声調の安定を図る段階にある初心者さんに対しては、第2声を「1→5」で発音するようアドバイスする
- 細かい点をネイティブ発音に近づけたいという段階の上級者さんに対しては第2声を「3→5」で発音するようアドバイスする
というように、受講生さんによってアドバイスが変わることもありうるわけです。
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このように発音矯正指導では、「現在その人が持っているクセ」によってアドバイスが異なること、そして「現在その人が発音学習のどの段階にいるか」によってアドバイスが異なることが起こり得ます。
どの段階にいる人でも、順を追って発音の定着を図っていけば必ず、目指すレベルの発音に到達することができますから、安心して先生についていってくださいね。
安心してついていける「中国語発音指導士(R)」の先生も続々と誕生しています。