通訳学校に通っておられる方は、中国語学習者の中でもかなりの上級者です。
旅行や生活、友達との会話などではほとんど不自由しないレベルの方たちですよね。
ところがそんな人たちでも、通訳学校では上級のクラスになかなか進級できずに涙する、という話をよく聞きます。
さすがにプロを目指す職業訓練の場ですね。
そんな進級のハードルのひとつに、発音が壁となって立ちふさがることがあるようです。
中国語力は十分なのに、「発音に気をつけてください」というコメントだけで次のステップに進めない……。
そんな悔しい思いをされた方も多いのではないでしょうか。
今日は、そんな状況から見事に脱出された受講生さんの事例をご紹介します。
2年半前の現実
通訳学校に通っているAさん。
中国語力は上級レベル。
文法も単語も問題なし。
内容の理解力も十分。
それなのに――
「発音に気をつけて」
このコメントが何度も繰り返され、進級できない時期が続いていました。
悔しいですよね。
力はあるのに、発音でつまずいてしまう……。
でも、Aさんはあきらめませんでした。
地道な実践が始まった
Aさんと私がレッスンで取り組んだ方法は、実にシンプル。
ずばり、
「原稿のある素材での反復練習」です。
〔こんな内容です〕
――原稿がある通訳教材を使用
――中国語文を音読・暗唱
――訳し戻し(日中訳と中日訳)
――発音矯正しながら反復、反復、また反復
派手な方法ではありません。
魔法のようなテクニックでもありません。
でも、これが確実な道だったんです。
なぜ「原稿のある素材」なのか
ここがポイントです!
原稿がある、ということは――
◇ 文字と音声に乖離がない
◇ 見つけた弱点をデータとして蓄積できる
◇ 何度でも同じ素材を練習できる
◇ 自分の改善を比較できる
「なんとなく」の練習ではなく、「確実に」の練習ができるんです。
通訳訓練でも同じですよね。
いきなりアドリブで通訳するのではなく、まずは原稿のある素材で基礎を固める。
発音も同じなんです。
そして今年――!
2年半の地道な練習を経て、今年。
Aさんが通訳学校の先生から言われた言葉は――
「あなたはいつも発音がいいね」
この言葉!
「発音に気をつけて」から「いつも発音がいいね」へ。
なんという変化でしょうか。
成功の理由を分析すると
Aさんの成功には、明確な理由があります。
◇ もともと中国語力は上級レベル
→ 基礎力があったからこそ、発音に集中できた
◇ 原稿のある素材を選んだ
→ 必要な発音を確実に身につけられた
◇ 日中訳・中日訳の両方を練習
→ プレッシャーのかかる条件下でも発音を維持する習慣ができた
◇ 暗唱と反復練習を続けた
→ 口の筋肉、舌の動きが定着した
そして何より――
◇ 2年半、あきらめずに続けた
→ これが一番大きい!
「上級レベルだからこそ」の発音矯正
実は、上級レベルの方の発音矯正は、簡単ではありません。
なぜか?
――すでに中国語が話せる
――意思疎通が可能なレベルで自然に話せる
――これまで不自由していなかった
というわけで、
スポーツ選手がフォームの改造に苦しむのと同じような苦しみがあります。
一方で、上級レベルの方の発音矯正にはやりやすい面もあります。
なぜか?
――文法や単語で悩む必要がない
――文の構造を理解しているから、音に集中できる
――自分の弱点を客観的に分析できる
Aさんもまさにそうでした。
中国語力があったからこそ、発音練習に全力投球できたんです。
でも、簡単だったわけではない
ただし!
「上級レベルだから簡単だった」わけでは、決してありません。
2年半という時間。
それは長いですよね。
途中で投げ出したくなることもあったかもしれません。
「もう十分では?」と思うこともあったかもしれません。
でも、Aさんは続けました。
原稿のある素材を、何度も何度も音読する。
通訳訓練と並行して、発音矯正も続ける。
この継続力こそが、成功の鍵だったんです。
通訳学校での評価が変わるということ
通訳学校で「発音がいいね」と言われる。
これは、単なる褒め言葉ではありません。
――プロの講師が認めた発音
――通訳者として通用するレベル
――聞き手にストレスを与えない音
つまり、「仕事で使えるレベル」に到達したということなんです。
Aさんの努力は、確実に実を結びました。
あなたも「できます」
Aさんのできごとを読んで、どう感じましたか?
「2年半も……?」
「自分にはムリかも……」
でも。
2年半前、Aさんも同じ場所にいました。
「発音に気をつけて」と言われ、進級できずにいた場所に。
そこから、一歩ずつ。
原稿のある素材を、一つずつ。
反復練習を、一回ずつ。
積み重ねた結果が、今の「いつも発音がいいね」なんです。
あなたにも、できます。
継続のコツ
2年半続けるって、確かに大変です。
でも、「2年半後のゴール」を見る必要はありません。
まずは――
――今週、この素材を完璧にする
――今月、この課を仕上げる
――3ヶ月で、このテキスト1冊を終える
そうやって、目の前の目標をクリアしていく。
気づいたら、半年。
そして1年。
そして2年半。
Aさんも、きっとそうだったはずです。
。・゜・。。・゜・。。・゜・。。・゜・。・゜・。
「発音に気をつけて」と言われている方。
2年半後のあなたは、きっとこう言われています。
「あなたはいつも発音がいいね」
その未来は、手に入ります。
さあ、今日から始めましょう!




