翻訳と、語学の一環としての和訳とは、違う。
とは思っていますが、まだ自分の言葉で表現するにはいたっておりませんでした。
『翻訳通信』の今月号に、翻訳では「理解した結果を母語で書いていく。」とあったので納得しました。
翻訳することを、「訳す」というのをやめて「翻訳する」と言うことにしようかな。自分へのいさめとして。
翻訳の評価の仕方、「原文に忠実」の意味など、周辺の議論も広げてくださりそうなので楽しみです。
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山岡洋一「英文和訳についての覚書」より
(『翻訳通信』2010年2月号「翻訳概論」)
[掲載時URL:http://homepage3.nifty.com/hon-yaku/tsushin/bn/201002.pdf]
そこで、英文和訳と翻訳にどのような違いがあるかをみていこう。
第一に、目的が違う。英文和訳は英文の読解力を試験の採点者に示し、高い点数を獲得することが唯一の目的である。これに対して翻訳では、原文の内容を忠実に読者に伝えることが目的である。
第二に、過程が違う。英文和訳では、原文を読み、訳していく。その際に、語句や構文を決められた訳し方で訳していくことが大切である。翻訳では、原文を読み、調べ、理解し、理解した結果を母語で書いていく。英文和訳では訳し、翻訳では調べて書く。
第三に、フィードバックの仕組みが違う。英文和訳では点数と正解が示されるので、どこをどう間違えたのかを検討できる。翻訳では訳文を見なおす際に、意味が通じるかどうかを検討する。意味が分からない文章になっている場合には、原文の読解か内容の理解、母語の文章のいずれかが不適切である可能性が高い。そこで、どこがどのように不適切かを検討する。英文和訳では正解がカギになるのに対して、翻訳では意味が手掛かりになる。