これから中国語を勉強しようという高校生に、伝えたかったこと。
その第3回「これからどうやって中国語を学ぶのか」
について書いてみようと思います。
これから中国語を始めるあなたに伝えたいことシリーズ
その1 なぜ発音が大事なのか
その2 発音を学ぶとは何を学ぶのか
その3 これからどうやって中国語を学ぶのか ← now here
その4 安定した発音を身につけるまでにやるべきこと
中国語を学ぶとは何を学ぶのか
多くの人は、学校で与えられたテキストに従ってレッスンを進めていくことになるでしょう。
では、そのテキストは、何を学習するために構成されているのでしょうか。
どういう学習項目を身につけていけば、中国語をマスターしたと言えるようになるのでしょうか。
ここでは、これから皆さんが学ぶことを細分化して可視化してみましょう。
ピンインの発音を覚える
「発音を学ぶとは何を学ぶのか」の項でも書いたように、ピンインのつづりを覚えることはとても重要です。
そしてお手本の音声をよく聞いて、音とつづりをペアリングすること。つまり、このつづりはこういう音なんだな、と結びつけることを大事にしてください。
単語を覚える
テキストに出てくる単語は日常生活でも頻出です。
(1)ピンイン、簡体字、意味を書き出す。
(2)書き出したリストの一部分を隠し、隠れているものを瞬間的に言うという反応ゲームで反射性を養うとよいでしょう。
訳語としてではなく、イメージと発音とを結び付けられるのがベストです。
また、テキストに出てくる単語だけでなく、自分の興味のある分野についてもどんどん単語量を増やしましょう。
単語は辞書やweb検索で知ることができます。
自己紹介トークで自分が必ず話すような話題について単語リストを作っておけば、これからずっと便利に使うことができますよ。
語順を覚える
文の中のどこに単語があるかによって意味が変わるのが中国語の大きな特徴の一つです。
テキストでいろいろな文法を習うのは、中国語の場合、結局は語順を学ぶことなのです。
中国語検定4級までの文法事項で、旅行などで簡単な自由行動はできるようになります。
中国語検定3級までの文法事項が身につけば、日常生活を送ることができますし、会話でもかなりの内容を話すことができます。
短文を読み、書き、聞き、話す
わたしたちが日常的に話す文は、あまり長い構造ではありません。
基本的には「主語部分+述語部分」でできている短文を連ねたものです。
ネイティブ中国語話者の話も同様です。
文法事項を覚えたら、その語順を使って言える短文をたくさんストックしていきましょう。
テキストに出てくる短文の単語を置き換えれば、いくらでも文が作れます。
この短文のストックが、フリートークで活用できる素材、話のパーツとなります。
もちろん、自分が書いたり話したりするだけでなく、他の人が書いたり話したりしている話を理解するためにも役立ちます。
長文を読み、書く
「主語部分+述語部分」でできている短文をいくつも並べることで、長文ができます。
意味のまとまりごとに段落を分けたり、文章全体を通して起承転結ができたりします。
長文では、短文と短文とのつながりを表したり、話題の転換ポイントを示したりと、接続詞が活躍します。
日本語に比べて中国語では、文章の冒頭で結論を提示することが多いといったスタイルの違いもあります。
発音の面では、意味の内容に合わせた緩急抑揚をつけて音読するようになります。
長文朗読のテキストには素敵な文章が掲載されているものも多く、音読の練習用にもなりますし、長文の書き方の参考にもなります。
中国語を学んでできるようになること
サバイバル
自由に渡航ができるようになると、中国語圏に旅行に行くこともまたできるようになるでしょう。
旅行先では、移動、宿泊、食事、トイレ、買い物、観覧、など、すべてにおいて中国語をつかったチャレンジが楽しめます。
ものが壊れた、水が出ない、体調を崩した、持ち物を紛失した、渋滞で遅れそう! など、いろいろなトラブルもあるかもしれません。
本当に困ったら、言葉ができなくてもなんとかなるものですが、こうしたチャレンジをひとつひとつクリアして行くのも外国語学習の楽しみではあります。
「地球の歩き方」などのガイドブックで現地情報を仕入れておいたり、起こりそうなトラブルについて対処法を学んでおくのが賢いかもしれません。
情報摂取(含エンタメ)
サバイバルのためでなくても、翻訳に頼らず中国語で直接情報を取りたい、という願いが叶います。
ご自身の仕事に関係する報道を中国語で読んだり、注目企業の社長スピーチを視聴したり、日本で報道されないようなローカルのニュースを知ったりすることができます。
エンターテインメント分野でも、推しの俳優の最新のインタビュー記事を自力で読み解いたり、邦訳の出ていないドラマを字幕を追いながら見て楽しんだり、どんな本が流行っているのか知ったりということが可能になります。
意見の表明
日本文化ではわりと八方美人が推奨されるというか、反対意見を言わず、場の和を乱さないことの方が重視される傾向があります。
中華圏の文化はそうではありません。反対意見だろうが同意見だろうが、自分はこう思う、ということをはっきり表明することが重視されます。
あなたはそう思うの? ふーん。わたしはそうは思わないな。ということが気軽に言える文化です。
言う方も遠慮しないし、言われた方も別にイヤな気持ちになりません。
波風立てないことを重視して生きてきた日本人だと、反対意見を持たないようにする習慣ができていて、いざ「あなたはどう思うの?」と聞かれた時に特に自分の意見を持っていないことに気づく、ということもあるようです。
このことは中国語の学習というよりも自己啓発の分野かもしれませんね。
生身の人との交流
ホテルの従業員、スーパーの店員、博物館の係員、中国語クラスの先生、留学生などなど、人との会話も楽しいものです。
わたしは息子が幼稚園児だった時、同じ幼稚園に通う中国人親子と仲良くなり、ママに会話練習の相手になってもらいました。
立場の垣根を超えて一人の人として話をすることができたらこれ以上の楽しみはありません。
考え方の違いを知り、習慣の違いを知り、育ってきた背景の違いを知り、それでも同じ心の機微があることを知り……。
だれか個人的にとても仲のよい人ができると途端に、中国語圏への理解も指数関数的に深まります。
多くの人が、個人的に仲のよいひとを作ってほしいなあ、とわたしは常々思っています。
国と国との付き合いではなく、人と人との付き合いをすると、国は国、人は人、と属性を分けて考えられるようになるのです。
そのためにも発音のハードルなどやすやすと飛び越えて、中国語をラクに使える人が増えてほしいとも思っています。
まとめ
新しく中国語を学習して行くなかで、具体的に学んでいく内容を細分化・可視化するとこうなります。
[ ピンインの発音を覚える ]
↓
[ 単語を覚える ]
↓
[ 語順を覚える ]
↓
[ 短文を読み、書き、聞き、話す ]
↓
[ 長文を読み、書く ]
自分が何を身につけている途上なのか、全体の工程のなかのどの地点にいるのか、それが分かっていれば迷いなく学習を進めて行くことができますよ。
(つづく)
→ その4 安定した発音を身につけるまでにやるべきこと