1. 翻訳修行の森を行く

読書メモ:読解力と文法の大切さ

「 長年、翻訳者の選定を手がける立場として気になっていることがあります。訳文はうまい、でもよくチェックしないとこわい、という人が増えてきていることです。

本書はいままで語学学習でおろそかになっていた『原文を正確に読み解くこと』に的を絞っています。翻訳の技術はファジーでありなかなか普遍化しえませんが、読み解く技術は確実に伝授できると確信します。」

『翻訳力錬成テキストブック―柴田メソッドによる英語読解―』
「まえがき」より
(柴田耕太郎著 日外アソシエーツ、2004年4月)

 

「英語教育に関して、この数十年にいくつかの先入観ができあがっている。そのひとつが、読解偏重と文法の詰め込みは良くないというものだ。柴田耕太郎著『翻訳力錬成テキストブック』は、徹底した読解と文法解析を特徴としているのだから、まさに『良くない』とされている方法をとっているのである。だから、古いという意見がでてくる。

この点については、単純な事実を考えてほしい。柴田耕太郎が『読解偏重と文法の詰め込みは良くない』という思い込みが一般にあることを百も承知のうえで、読解と文法解析を徹底して教えようとしていることだ。いまの英語教育では、偏重といわれるほど読解が教えられていないし、文法も詰め込まれていない。だから英語の読み書きの能力が落ちているのだし、小学生程度の英会話はできるとしても、英語でまともに議論できるようにはならない。本書で柴田耕太郎は事実上そう主張しているのである。」

『翻訳通信』第23号 2004年4月号
「近刊書の紹介 柴田耕太郎著『翻訳力錬成テキストブック』」(山岡洋一)より

関連記事